現地時間６月22日、「NBAドラフト2023」がニューヨーク州ブルックリンのバークレイズ・センターで開催され、フランス出身の19歳、ヴィクター・ウェンバンヤマがサンアントニオ・スパーズから全体１位指名を受けた。

　５月17日のロッタリー（抽選会）でスパーズが１位指名権を獲得して以降、ウェンバンヤマの獲得は既定路線と見られ、この日の会場に詰め掛けたスパーズファンからも開始前から「ウェンビー（ウェンバンヤマの愛称）」コールが飛び交っていた。

　実際にコミッショナーのアダム・シルバーの口からも、いの一番にその名が呼ばれ、晴れてスパーズ入りが決まったウェンバンヤマだが、逸材と呼ばれる19歳の心にも期待と不安が入り混じっていたようだ。

　スパーズの帽子をかぶり、壇上でコミッショナーと握手を交わしたあと、インタビューに応えたウェンバンヤマの目には大粒の涙。その後の会見では「本当に言葉にできない。人生最高の気分のひとつだね。おそらくは人生最高の夜だ。長い間、夢に見てきた。夢が叶ったんだ。信じられないよ」と素直に喜びを語った。
  　ドラフトの中継では身長226cm（７フィート５インチ）、NBA史上６番目の長身選手として紹介。全体１位指名選手としては2002年にヒューストン・ロケッツから指名された中国代表のヤオ・ミン（229cm）に次ぐ、史上２番目の大型選手だ。

　また、スパーズの歴史では1987年のデイビッド・ロビンソン、97年のティム・ダンカンに続く３人目の１位指名。ともに新人王、MVP、そしてチームを優勝に導いた偉大なビッグマンのように、常勝復活のシンボルとして地元ファンの期待を一身に背負うこととなる。

　ウェンバンヤマ自身も「優勝を目指し、長くリングを追い求めながら、実現できなかった選手たちもいる。その１人にはなりたくない。常にどんどんリングへと近づくのが目標だ」と、チャンピオンシップ獲得を最大の目標に掲げる。

「スパーズのジャージーを着るのが待ち遠しい。素晴らしい冒険の始まりだ」。近年最大の注目を集めた“怪物”の、新たなストーリーが幕を開けた。

構成●ダンクシュート編集部