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「毎年上手くなって、『NBAで歴代最高の1人』と言いたい」カリーのトレーナーの下でシュート力向上に励むキングスのミッチェル<DUNKSHOOT>

秋山裕之

2023.07.09

ミッチェルは今夏にカリー(左)のトレーナーの下でトレーニングに励んでいるという。(C)Getty Images

 昨季ウエスタン・カンファレンス3位の48勝34敗(勝率58.5%)を残したサクラメント・キングスは、2006年以来、17年ぶりのプレーオフ進出を果たした。

 ポストシーズンでは1回戦でゴールデンステイト・ウォリアーズに3勝4敗で敗れたが、先にシリーズ突破に王手をかけるなど、前年王者をあと一歩のところまで追いつめた。

 6月30日(日本時間7月1日、日付は以下同)のFA(フリーエージェント)との交渉解禁を前に、キングスは完全FAのハリソン・バーンズと再契約を結ぶと、トレイ・ライルズ、アレックス・レンの引き留めにも成功。さらに、インディアナ・ペイサーズとのトレードでガードのクリス・ドゥアルテを獲得したほか、昨季ギリシャのオリンピアコスでユーロリーグMVPに輝いたサーシャ・ベゼンコフという206㎝のフォワードも加えている。

 ただ、チームの戦力アップの方法はFA戦線やトレード、ドラフトだけではない。現有戦力の若手がオフにスキルを磨き、レベルアップすることが戦力増強に直結するからだ。

 2021年のドラフト1巡目9位でキングスから指名されたデイビオン・ミッチェルは、183㎝・92㎏という体格とフットワークを駆使したタフなディフェンスに定評がある。

 ディアロン・フォックス、ケビン・ハーターが先発を務めるキングスで、ミッチェルはマリーク・モンクとともに彼らのバックアップを務め、レギュラーシーズンでは80試合の出場で平均5.6点、1.3リバウンド、2.3アシスト、プレーオフでは7試合で平均7.1点、1.3リバウンド、1.7アシストをあげた。

 ミッチェルはキングスで数少ないディフェンダータイプだが、3ポイント成功率はNBA入り後の2シーズンはいずれも32%以下と、オフェンス面における役割は限定されている。
 
 本人も攻撃力の欠如は自覚しているようで、キングスの地元メディア『NBC Sports California』で実況アナウンサーを務めるマーク・ジョーンズは、このオフにミッチェルはジャンパーの向上に取り組んでいると話していた。

 ミッチェルはキャリア3年目に向けて、シューティングコーチのブランドン・ペインの下でスキルアップに励んでいるという。ペインはステフィン・カリー(ウォリアーズ)のトレーナーを長年務めている人物だ。

 フォックス、ハーター、モンクの主要メンバーに、得点力が売りのドゥアルテが加わったことで、キングスのバックコート陣は選手層が厚くなった。ただ一方で、昨季以上のサバイバルレースになる様相だけに、ミッチェルは6日に地元メディア『The Sacramento Bee』へ公開された記事でこう話していた。

「僕は映像を観て、ゲームのメンタル面でも成長しているし、シュート力も磨いている。いろんな人や殿堂入り選手と話して学ぶようにしている。彼らが持つ頭脳を借りて、2年目から3年目に向けてどうアジャストしていくかをね。3年目は重要な年になるからね」

 勝負の3年目を迎えるミッチェルにとって、キングスでローテーションを堅持することがゴールではない。24歳のガードは「僕は毎年うまくなっていきたい。ただ単に『NBAにいる』のではなくて『NBAで歴代最高のひとりなんだ』と言いたいんだ」と意気込んでいる。

 持ち前のディフェンス力でローテーションの座を勝ち取った男が、オフェンス面、特にアウトサイドシュートで相手チームの脅威となれるか注目していきたい。

文●秋山裕之(フリーライター)

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