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NBAのロード・マネジメントに歯止めはかかるか?ガーネットは近年の原因に医者の“過保護”説を主張<DUNKSHOOT>

ダンクシュート編集部

2023.11.03

ピアース(左)は19年間で65試合以上出場15回、ガーネット(右)も21年間で15回と長期離脱が少なく、息の長いキャリアを送った。(C)Getty Images

 近年のNBAはポジションレス化、スモールボールによるハイペース化が進む一方で、半年間で82試合を戦う過酷なレギュラーシーズンのなかで、意図的に選手を休ませる「ロード・マネジメント」がスタンダードになりつつある。この状況に、殿堂入り選手のポール・ピアースとケビン・ガーネットが警鐘を鳴らしている。

 かつてはシーズン全82試合に出場する選手も珍しくはなかったが、近年はカワイ・レナード(ロサンゼルス・クリッパーズ)に代表されるように、ケガの未然防止を含めて主に連戦で選手を欠場させる「ロード・マネジメント」を採り入れるチームは少なくない。

 NBAとNBPA(選手会)は今年7月1日から施行された新たな団体交渉協約(CBA)に合意し、オールNBAチームやシーズンMVPなど個人賞を受賞する条件として、最低65試合の出場ラインを設定。ほかにも、全米放送のゲームにおいてはスター選手(過去3シーズンにおいてオールスター、もしくはオールNBAに選出にされた選手)の休養を理由とした欠場に関しても、厳しいガイドラインや罰金制度を導入している。

 そのなかで、NBAで19シーズンにわたってプレー(通算1343試合出場)し、全82試合出場を計3回記録している殿堂入り選手のピアースはポッドキャスト『Ticket and The Truth』で、ボストン・セルティックスとブルックリン・ネッツで同僚だったガーネットに、「今の世代は俺らの時よりもケガの治りが遅いと思わないか?」と問いかけた。
 
 すると、NBAで21年間プレー(通算1462試合出場)し、全82試合出場を計4回記録しているガーネットは、選手たちの復帰が遅くなったのは医者のせいだと持論を展開した。

「例えば選手がケガをした時、ドクターが『おいおい、足に穴が開いているじゃないか。歩くのもままならない状態だ』と言うんだ。そこに歩いて来ているのに、『無理に力をかけちゃいけない』とね。実際はそんなにひどい状態ではなかったとしても、メンタル的にはそう思い始めるようになる」

 ガーネットは現役時代、闘争心を前面に押し出したプレースタイルで知られたが、実は心雑音(循環器病の症候のひとつ)を抱えながらプレーし続けていたことを明かした。

「俺はドクターに、心臓に穴が開いていると言われた。『君はプレーできない』とね。だから、毎年検査をクリアしないといけなかった。もしドクターに言われたことを信じていたら『くそ! 俺の心臓め…』と思っていただろうね。言いたいことがわかるか? そんなくだらない話は聞きたくない。俺は2つの心雑音を抱えながら21年間プレーしたんだ」

 近年ではザイオン・ウィリアムソン(ニューオリンズ・ペリカンズ)がケガを繰り返すなど、スター選手が長期欠場する例が目立つ。昨季のオールNBAチームに選ばれた15選手のうち、65試合以上の出場を果たしたのは10人、70試合以上はわずか4人だった。有望な選手がより多くコートに立てる環境が、さらに整備されていくことを祈るばかりだ。

構成●ダンクシュート編集部
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