NBA

NBAが注目する欧州の逸材!16歳でプロデビューを飾ったキリアン・ヘイズの興味深いキャリア

小川由紀子

2019.12.25

アメリカ生まれフランス育ちのヘイズは、2020年ドラフト上位候補の1人だ。(C)Getty Images

 世界中からトッププレーヤーが集まるNBAは、誰もが認める世界最高峰の舞台だ。もちろん、ドラフトにもアメリカの大学出身者のみならず、各国から若き精鋭たちがエントリーする。2020年6月25日にブルックリンのバークレイズ・センターでその名を呼ばれるであろう、ヨーロッパで活躍する3人のヤングプレーヤーを、全3回に渡って紹介する。

    ◆    ◆    ◆

 今回紹介するのは、ドイツのクラブ、ラティオファームでプレーする18歳のPG/SG、キリアン・ヘイズだ。ヘイズはプロバスケットボール選手だったアメリカ人の父とフランス人の母の下、2001年にアメリカで生まれ、フランスで育った。

 父のデロンはペンシルバニア州大でプレーした後、NBA行きの道を模索するも叶わず、ヨーロッパへと渡った。フランスやポルトガル、スウェーデン、ウクライナ、ロシアなど数々のクラブを渡り歩き、その後フランスに戻った時に、キリアンの母となる妻サンドリンと出会った。
 
 父と同じフロリダで生を受け、その後フランスで育ったヘイズは、6歳になると父の古巣であるショレ・バスケットに入団する。ショレはフランスのなかでも特に育成に定評のあるクラブで、これまで数多くのトッププレーヤーを輩出している名門だ。そのなかにはフランス代表のナンド・デ・コロやケビン・セラフィン、そして現在ユタ・ジャズで活躍するルディ・ゴベアらNBA選手も含まれる。

 14歳の時にはトニー・パーカーやボリス・ディーオウ、ロニー・トゥリアフらを輩出した国立アスリート養成所、INSEPからも誘いを受けた。テストには合格したが、家族の勧めで彼はショレに残ることを選択した。

 教えたわけでもないのに、4歳の時には庭のバスケットゴールでリバースダンクをマスターしていたというヘイズは、ショレでは常に飛び級で年上の選手と一緒にプレーしていた。15歳でユースチームのメンバーに抜擢されると、16-17、17-18シーズンにはU18のクラブ選手権で優勝。16-17シーズンのファイナルでは、先輩たちを差し置いてMVPに選出されている。さらに翌年はユースチームとプロチームを掛け持ちし、16歳でプロデビューを飾った。
 
NEXT
PAGE
アメリカのカレッジに進まず、フランスでキャリアを積むことを選択