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「今は全員がガード」稀代の司令塔キッドが現代NBAを語る「発端となったのはレブロンだと思う」<DUNKSHOOT>

秋山裕之

2024.03.22

大柄な選手がガードのようなスキルを持つことが当たり前となった現在のNBA。キッド(左)はレブロン(右)の影響だと語った。(C)Getty Images

 現代のNBAでは、身長2mを超える選手がいとも簡単にボールを操り、ドライブからフィニッシュまで持ち込むだけでなく、ハーフコートオフェンスではボールハンドラーとなって攻撃の起点となっている。

 その傾向は決して最近生まれたトレンドではない。現地3月21日のユタ・ジャズ戦を前にした記者会見で、ダラス・マーベリックスのジェイソン・キッドHC(ヘッドコーチ)は「ポジションの概念はなくなった」と持論を述べていた。

 現役時代、キッドはポイントガードとしては大柄な193cm・95kgのサイズで司令塔を務めあげ、トリプルダブルは歴代6位の107回を記録。ファーストブレイクで味方のイージーバスケットを演出したほか、そのサイズを武器にポストアップから起点となってゲームを組み立てた。NBAで19年間プレーした稀代の司令塔は、次のように語る。

「ポジションの概念はもうなくなったと私は考えている。ポイントガード、シューティングガードに限らず、誰もがシュートしている。それにみんながハンドリングできている。別の面ではみんながリバウンドを奪っているんだ。昔はポイントガードからプレーが始まっていたが、今では試合のペースが上がり、多くのアスリートがコートにいるから、誰がリバウンドを奪っても(相手に)問題を引き起こすことができる。6フィート8インチ(203cm)や7フィート1インチ(216cm)、7フィート5インチ(226cm)がそのままボールを運んでしまうからね」
 
 キッドHCは、「その発端となったのがレブロンだと思う」と言う。

 レブロンとは言うまでもなく、現在ロサンゼルス・レイカーズでプレーするレブロン・ジェームズのこと。2003年のドラフト全体1位でNBA入りした"キング"は、206cm・113kgという重量級の肉体に器用なハンドリング力を備え、歴代有数のパスセンスも持ち合わせている。得点・リバウンド・アシストと3拍子揃った選手として、21シーズン目の今季もトップレベルを維持して活躍を続けている。

 レブロンの活躍以降、リーグには同じようにガードのようなスキルを持つ大柄な選手が登場。211cm・109kgのケビン・デュラント(フェニックス・サンズ)や208cm・113kgのパオロ・バンケロ(オーランド・マジック)といった選手が、難なくハンドラー役をこなしている。

 今季の新人王有力候補のヴィクター・ウェンバンヤマ(サンアントニオ・スパーズ)もその1人だ。224cmの高さと240cmの長いウイングスパンを持ちながら、ペリメーターでも起用にプレーし、華麗なドライブやアシストを繰り出すことも珍しくない。
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