専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
NBA

ブーイングから始まった苦難のNBAキャリア。トレード、大けがを経てポルジンギスが辿り着いた境地<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2024.06.16

ファイナル第2戦で負傷したポルジンギスだが、第4戦前にはウォームアップに参加するなど、復帰の道が完全に立たれたわけではない。(C)Getty Images

ファイナル第2戦で負傷したポルジンギスだが、第4戦前にはウォームアップに参加するなど、復帰の道が完全に立たれたわけではない。(C)Getty Images

 今年のNBAファイナルは、ホームの開幕2連戦を制したボストン・セルティックスが第3戦も取り、破竹の3連勝。第4戦ではダラス・マーベリックスが踏みとどまったが、セルティックスが2008年以来の栄冠に王手をかけている。

 流れを掴む上で重要な第1戦で躍動したのは、プレーオフ1回戦の途中から負傷により10試合を欠場していたラトビアのビッグマン、クリスタプス・ポルジンギスだ。

 シリーズ開始前、「いきなりファイナルに飛び込むのはタフだが、できる準備はすべてやった」と話していた“ユニコーン”はこの試合、前半だけで18得点を奪いセルティックスのスタートダッシュに貢献。6リバウンドに3ブロックとディフェンスでも絶大な貢献を果たした。

 NBAで9年目を迎えているポルジンギスにとって、このファイナルの舞台に到達するまでの道のりは、決して楽なものではなかった。なにしろ彼のNBAキャリアは、栄えある初日から、自分が所属することになる球団のファンから大ブーイングを浴びるところから始まっているのだ。
 
 2015年のNBAドラフトで、彼はニューヨーク・ニックスから全体4位で指名を受けたが、即戦力となれる選手を望んでいたファンにとっては、欧州から来たほぼ無名の選手の獲得は、がっかり以外の何物でもなかった。期待に胸を膨らませていた19歳の若者にとっては、なんとも酷な洗礼だ。

 しかしポルジンギスはその体験を、「彼らが間違っていることを証明するためのモチベーションにした」と、地元紙『ニューヨーク・ポスト』のインタビューで語っている。

 ニックスは、彼が在籍していた間に4人も指揮官が入れ替わる過渡期にあったが、「すべてが順調にいっている時は楽だ。物事がスムーズにいかない時は厳しい。でも、そういう時こそ、より多くのことを学べるんだ」とポルジンギスは当時を振り返る。

「だから良かった時も悪かった時も、何にも変えがたい体験だ。それが今の僕を作り、この瞬間にいられる僕を作ってくれたのだから」
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号