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35歳でNBAの優勝指揮官に!セルティックスを頂点に導いたマズーラHCがヒントを得たのは、サッカー界の名門チーム&名将<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2024.06.20

35歳の若さでNBAの優勝指揮官となったマズーラ。優れた戦術の裏には、サッカー界の名将からの助言もあった。(C)Getty Images

 NBA歴代最多となる18回目の優勝を達成したボストン・セルティックス。チームを率いたのは、35歳(6月30日に36歳)のジョー・マズーラHC(ヘッドコーチ)だ。

 チーム最年長のアル・ホーフォード(38歳)よりも年下という若さに注目が集まるマズーラHCだが、自身のコーチングにサッカーの戦術を取り入れていたというのも非常に興味深い。

 彼は子どもの頃から多種多様なスポーツに親しんできたというが、サッカーもそのうちのひとつだった。

「あらゆるポジションを転々とした。あまり上手くない時は、いろいろと試されるんだ」と本人はコメントしているが、それがかえって、彼にサッカーという競技の「美しさ」と「奥深さ」を理解させる体験となったのだという。

「バスケットボールは統計によって定義される部分が大きく、スター選手が何点取ったかを見て、パフォーマンスを判断する。一方サッカーでは、ある選手がどれくらいのインパクトを与えているかを知るには、試合全体を注意深く観察しなければならないんだ」
 
 大学ではバスケをプレーしていたマズーラだったが、サッカー熱が消えることはなく、当時スペインのFCバルセロナを率いて2度のチャンピオンズリーグ優勝を果たすなど、目覚ましい手腕を発揮していたジョゼップ・グアルディオラ監督が尊敬の対象となった。

 マズーラは、「グアルディオラはあらゆるスポーツ、あらゆるレベルにおいて、現在世界最高の指導者」であると描写している。

 そして実際、2022年の冬にマズーラはグアルディオラが指揮を執るマンチェスター・シティを訪ね、直々に交流する機会をもった。当時セルティックスのアシスタントコーチだったマズーラは、マンチェスター・シティのプレーを分析していたのだった。

 マズーラが応用しているグアルディオラの戦術的発想は大きく分けて2つある。トランジションでの動きと、パスの連動でゴール=シュートチャンスを切り開いていく動きだ。

 バスケもサッカーも、攻守の切り替え、すなわちトランジションが目まぐるしく起こる。モダンサッカーでは、攻撃手がいかに第一のディフェンスの砦になれるかが重要になっているが、マズーラも、守備に転じた瞬間の攻撃手のポジショニングを重要視していた。
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