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「僕に合っている」本命ウィザーズに入団したアレックス・サール。ドラ1リザシェイと正反対の道のりを歩んだ19歳がNBAに辿り着くまで<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2024.07.02

216㎝の万能ビッグマン、サールは下位に低迷するウィザーズを変えることができるか。(C)Getty Images

 6月26日に行なわれたNBAドラフトで、1位指名のザカリー・リザシェイに続く2番手で名前を呼ばれた、同じくフランス人のアレックス・サール。身長216cm、ウイングスパンは227cmを誇るビッグマンを指名したのは、ワシントン・ウィザーズだった。

 リザシェイとは同じ2005年生まれで、世代別のフランス代表ではチームメイトでもある2人だが、ドラフトで上位指名を受けるまでの道のりは、正反対と言えるものだった。

 フランスのプロクラブで育成を受けたあと、国内リーグで経験値を積むという、昨年のドラ1、ヴィクター・ウェンバンヤマと同じ道筋を辿ってきたリザシェイとは対照的に、サールは14歳でフランスを離れてスペインに渡り、ルカ・ドンチッチを輩出したことでも知られる若手発掘のプロ集団、レアル・マドリーのユース部門に入団。

 そこで2年間の経験を積んだのち、16歳で渡米、ハイスクール世代の若手の育成を目的としたリーグ、オーバータイム・エリートへ入団する。サールは2021年に発足したこのリーグで最初の欧州出身選手となった。

 2年間プレーしたあと、次に彼が目指したのはオーストラリア。同国のナショナル・バスケットボールリーグ(NBL)もまた、将来NBA入りを目指す若手にチャンスを与える、"ネクストスター・プログラム"なるストラテジーを推進しているリーグだ。
 
 入団したパール・ワイルドキャッツでは、シーズン途中に負傷で数週間離脱することもあったが、サールは平均17分のプレータイムで9.4点、4.3リバウンド、1.5ブロックを記録。彼のプレー見たさにNBAのスカウトが絶えずパースの試合を見に訪れていたと、多数の現地紙が報じている。

 こうした道筋を経て目標としていたNBAに辿り着いたサールは、2位指名を受けたあとのインタビューで、「今夜のような瞬間を経験したいと思って、僕は家を出た。だからとても充実感を覚えている」と、自分自身を讃えた。

「僕はフランスリーグでのプロ経験はない。亜流の道を辿ってきたけれど、それが僕の成長の大きな助けになった。だから誇りに感じているよ」

 リザシェイ同様、サールの父もセネガル出身の元プロバスケ選手、6歳年上の兄オリビエは、昨季オクラホマシティ・サンダーと2WAY契約と、バスケ一家に育ったことも、自身のキャリアに大きく影響している。

 そしてもう1人、彼が助言を仰いだのは、今年の4月から彼のマネジメントを担当するエージェントだ。「詳細は明かせない」としつつも、アンソニー・エドワーズ(ミネソタ・ティンバーウルブズ)やチェット・ホルムグレン(オクラホマシティ・サンダー)らをクライアントに持つビル・ダフィー氏からのアドバイスを信頼したとサールは語っている。
 
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ドラフト前は夏合宿の桜木花道のようにシュート練習に励んだ