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NBA

WNBAに革命を起こしたケイトリン・クラーク。アメリカで話題沸騰中の22歳のルーキーガードが持つカリスマ性<DUNKSHOOT>

杉浦大介

2024.07.26

クラークはここまで26試合に出場し、リーグ13位の平均17.1点、同1位の8.2アシストとフィーバーを牽引。先日行なわれたオールスターにも出場した。(C)Getty Images

クラークはここまで26試合に出場し、リーグ13位の平均17.1点、同1位の8.2アシストとフィーバーを牽引。先日行なわれたオールスターにも出場した。(C)Getty Images

 アメリカで話題沸騰の理由はすぐに理解できた。WNBAのインディアナ・フィーバーに所属するケイトリン・クラークのプレーを1試合、いや前半だけでも見れば、その異常と呼べる人気にすぐに合点がいったのだ。

 高い得点力が持ち味のクラークだが、7月17日にテキサスのカレッジパーク・センターで行なわれたダラス・ウィングス戦で目立ったのはパスセンス。フィーバーは大接戦の末に93-101で敗れたものの、22歳の新人ガードは24得点をあげただけでなく、序盤からゴール周辺の選手たちにパスを供給し続け、WNBAの1試合最多を更新する19アシストを稼ぎ、リーグの歴史に名を刻んだ。

 「チームメイトの成功を助けようとしていますが、たまにパスをし過ぎる傾向にあり、それがターンオーバーに繋がっているのかもしれません。シュートを打ってもいいのでしょう。ただ常にポストプレーヤーに目を向けています」

 クラークは試合後、まるで自身の功績に注目が浴びることを避けるかのように語ったが、キャリアハイの28得点を記録したチームメイトのアリーヤー・ボストンは逆に若きエースを“アシスト”する。

「彼女は(アシストのWNBA記録なんて)何の意味もないと言うだろうけど、私はとてもクールだと思います」
 
 単に数字が素晴らしかっただけではない。クラークがボールを持つと、“次は何をやってくれるのか?”とアリーナの空気が一変する。得意のロングジャンパーを放つのか、それともチームメイトにキラーパスを繰り出すのか――。

 個人的な記憶を掘り起こすと、クラークのプレーはNBAにおいて存在感が薄いチームだったニュージャージー・ネッツ(現ブルックリン・ネッツ)を一変させた2000年代前半のジェイソン・キッドを思い起こさせる。まだターンオーバーは多いものの、それも含めて“クラーク劇場”の一部。そのアップダウンの激しさには、まるで目が離せないハリウッドのアクション映画のような魅力が存分にあるのだ。
 
 2024年上半期、全米で最も注目を集めたバスケットボール選手はレブロン・ジェームズ、ステフィン・カリー、昨季NBA王者のボストン・セルティックスの選手ですらなく、クラークだったのではないか。

 アイオワ大の大黒柱として臨んだ2023-24シーズンは平均31.8点、8.9アシストをマークし、NCAAトーナメントでも2年連続で決勝進出。180cmの小さな身体で“ディープスリー”を次々と決めるエキサイティングなプレースタイルはたちまち人気となり、サウスカロライナ大との決勝戦は男子をも上回るほどの視聴件数を記録した。
 
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