パリ五輪

まさに現代の“ドリームチーム”!移動は一般の列車を使用も、万全のセキュリティに箝口令…バスケ米国代表のVIP待遇ぶり<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2024.07.26

NBAのトップスターを揃えたバスケ米国代表。移動ひとつをとってもVIP待遇となっているようだ。(C)FIBA

 パリ五輪開会式を2日後に迎えた24日、レブロン・ジェームズやステフィン・カリーら錚々たるメンバーが揃ったバスケ米国代表が、ロンドンでの最終テストマッチを終えて本戦の地リールに上陸した。

 安全面を考えて、当然ながらプライベートジェットでの移動…かと思いきや、チームUSAはなんと、ロンドン市内のセント・パンクラス駅から発着している国際列車ユーロスターを利用。ロンドンからリールまでは直行で約1時間25分ほどだから、空港への移動などを考えてもこの利用は理に適ってはいるのだが、昨年12月にUSAバスケットボールから問い合わせがあった際にユーロスター側は大変驚いたという。

 万全なセキュリティを中心に、アメリカ側の要望は厳しく、そこから約7か月間かけてこの日のために準備してきたそうだ。オペレーションチームはおびただしい数のテキストメッセージを交換しながら、無事に"ドリームチーム"の面々を決戦の地まで送り届けた。

 ユーロスター側のリクエストで、乗車する前にチームは車両の前で記念撮影を行なっているが、この時も彼らの姿が通行人から一切見えないよう、細心の注意を払ってパネルなどが設置された。その写真撮影がユーロスター側が実現できた唯一のリクエストで、選手たちへささやかなギフトを渡したい、といった要望はすべて却下されたそうだ。ちなみに、疲れた表情の選手が多かったなかで、レブロンは終始ご機嫌ムードだったらしい。
 
 車内には、ごく少数のメディア、主にカメラマンが同行を許されたとのことだが、リールに到着してから1時間が経過するまでは、一切の情報を外に出さないようにという箝口令が敷かれていた。

 以前、歌手のブリトニー・スピアーズが同車で移動中に撮った写真を自身のSNSにアップしたところ、到着地のパリにファンが大挙して大変な騒ぎになり、その時の経験が教訓になったようだ。

 今回のオリンピックは、SDGsやエコロジーをテーマにしていることもあり、イギリス代表やベルギー、ドイツ、オランダの選手団も、電車を利用してパリに移動する。

 チームUSAがリールに移動した日の午後には、イギリス選手団も同じ駅からパリに向かったそうだが、この時はスタッフたちからの「頑張ってきてね~」という激励の拍手こそあったものの、オペレーション自体はいたって通常通りだったとのことで、『いかにこの"ドリームチーム"が特別な存在かが、大会が始まる前から浮き彫りになった』と、地元メディアは驚き混じりに報じている。

 アメリカは最後のテストマッチとなったロンドンでのドイツ戦に92-88で勝利。カナダ(86-72)、オーストラリア(98-92)、セルビア(105-79)、南スーダン(101-100)と、いずれも難敵相手に無傷の5連勝で現地に乗り込んだ。

 グループリーグ初戦のセルビア戦は、28日の17:15(日本時間29日0:15)にティップオフ。VIP待遇で迎えられた現代の"ドリームチーム"の初陣に注目だ。

文●小川由紀子

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