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パリ五輪

【パリ五輪】「何やってるんだ、しっかりしろ!」フランスのファンも想定外だった日本の強さ「ファウルに頼らなければ勝てなかった」<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2024.08.01

フランスはグループリーグ2連勝を飾ったが、日本戦は地元ファンが期待していたようなワンサイドゲームにはならなかった。(C)Getty Images

フランスはグループリーグ2連勝を飾ったが、日本戦は地元ファンが期待していたようなワンサイドゲームにはならなかった。(C)Getty Images

 7月30日に行なわれたパリ五輪グループリーグ第2戦の日本対フランスは、観る者すべてを大興奮に陥れるドラマチックな接戦となった。

 試合前から会場のスタッド・ピエール・モーロワにはフレンドリーな空気が充満しており、MCもカメラも積極的に日本のファンをフィーチャー。両軍チームのファンが一体となってウェーブや手拍子で会場の士気を高め、最高の雰囲気の中でゲームはスタートした。

 しかし、「フランスが快調に点差を広げるだろう」と踏んでいた地元ファンの目論見は、早々に裏切られることになる。フロアを切り裂く河村勇輝の矢のような動きは一瞬で観衆の視線をとらえ、筆者の隣で見ていたフランス人男性も、すかさずスマートフォンを取り出して河村について検索し始めた。

 フランスは第1クォーターで一時9点差をつけたものの、第2クォーター残り3分に40-40の同点に追いつかれた際には、客席から「おい、何やってるんだ、しっかりしろ!」と自陣を叱咤激励する声も聞かれ、それと同時にフランスのベンチには焦燥感が漂っていた。

 ヴァンサン・コレHC(ヘッドコーチ)は事あるごとに必死にビデオ判定を要求し、第4クォーターに八村塁が2度目のアンスポーツマンライクファウルの判定を受けた時も、選手やファンたちが懸命にアピール。いかにフランスが追い詰められていたかを象徴していた。
 
 第4クォーター終盤、観客は総立ちとなってこの攻防戦を注視。残り10秒に河村がフリースローを2本とも沈め、日本が4点のリードを奪った時には、フランスのファンの間からは「終わった…」という空気が流れていた。

 そんな敗戦ムードを一変させたのが、マシュー・ストラゼルの4ポイントプレーだ。21歳のガードは直前に、河村に対して2度のファウルを犯し、4本のフリースローを献上。それを自ら取り返したといわんばかりの渾身のスーパープレーだった。

 漫画『スラムダンク』の山王工業戦での三井寿を彷彿とさせるビッグショットで同点に追いついた瞬間、会場には割れんばかりの大歓声が巻き起こる。ファンは「なんてシナリオなんだ!」と頭を抱えながらも、レ・ブルーの勝利を信じて、応援ムードは再び最高潮に達した。

 オーバータイムに入ると、フランスのファンは国歌「ラ・マルセイエーズ」を大合唱。これが選手たちの背中をさらに押し、フランスは94-90で大接戦をモノにした。
 
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