パリ五輪

「今までとは違う環境」で奮闘するアメリカ代表のエンビード「自分にできることを持ち込み、勝利する方法を見出していくだけ」<DUNKSHOOT>

秋山裕之

2024.08.02

初のオリンピックの舞台で、エンビードは普段とは異なる役割に奮戦している。(C)Getty Images

 現地時間7月28日、フィラデルフィア・セブンティシクサーズのジョエル・エンビードは、アメリカ代表の先発センターとしてパリオリンピックの舞台に立ち、11分21秒の出場で4得点、2リバウンド、1ブロックを記録した。

 この日行なわれたセルビアとの予選ラウンド初戦、チームはチームはケビン・デュラントが23得点、レブロン・ジェームズが21得点、7リバウンド、9アシストを残すなど計6選手が2桁得点を記録して110-84で快勝。その一方、エキシビションマッチ5戦を含めた6試合でエンビードは平均9.7点、6.0リバウンドと本来のパフォーマンスを発揮できていないのは明らかだった。

 もっとも、エンビードは30日のチーム練習時に「これは(今までとは)違う環境さ。俺にとっては最高の選手たちがたくさんいる中でプレーできる素晴らしい環境なんだ。チームが勝利するため、自分にできることなら何だって持ち込んで、勝利する方法を見出していくだけ。それがすべてさ」と話していた。

 30歳のビッグマンは一昨季のNBAでシーズンMVPを受賞。昨季はケガのため39試合の出場に終わったが、シクサーズで平均34.7点、11.0リバウンド、5.6アシスト、1.18スティール、1.69ブロックの大暴れを見せていたことを考えると、代表のパフォーマンスは物足りない印象は否めない。

 それでも、エンビードはレブロンやデュラント、ステフィン・カリーといったスター選手が揃うアメリカ代表で、シクサーズのように支配的なプレーを見せられていないことを問題視していない様子だ。
 
「NBAで、俺はチームの一番手としてやってきた。今は諦めるしかないが、この状況は大好きさ」と、かつてとは違うスタイルになるであろう新シーズンの準備になると前向きに捉えている。

 大黒柱のエンビードと、再契約したタイリース・マキシーに、新たにポール・ジョージを加えたシクサーズは、リーグでも注目のチームとして今季を迎える。彼ら主軸の周囲にもケリー・ウーブレイJr.やケイレブ・マーティン、カイル・ラウリーにエリック・ゴードン、アンドレ・ドラモンドといったベテラン陣が揃っている。

 特にマキシーとジョージがいる今季は、エンビードの負担が大幅に軽減されることが予想される。

「次のシーズンを迎えるにあたって、このチームにはタイリースとPG(ジョージ)がいる。特にタイリースには次の段階へと飛躍してほしい。もちろん、俺はコート上でできる限りのサポートをするつもりだ。今でも支配的なプレーはできるけど、俺はチームメイトたちにもっと自由を与えたいと思っている。だからこのオリンピックは俺にとって(今季に向けた)素晴らしい経験になっている」とエンビード。

 アメリカは31日に南スーダンを103-86で倒して2連勝とし、決勝トーナメント進出が決定。この日アメリカはエンビードとドリュー・ホリデーを先発から外し、ホリデーはベンチから出場したものの、エンビードはプレーしなかった。

 ただ、スティーブ・カーHC(ヘッドコーチ)は8月3日のプエルトリコ戦でエンビードとホリデーをスターターへ戻すことをすでに明言している。予選ラウンド最終戦でエンビードが再び黒子役として身体を張り、コート上で奮闘する姿を見せてくれることだろう。

文●秋山裕之(フリーライター)
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