パリ五輪

「これから先の人生でずっと記憶に残る特別な勝利」。死闘を制したアメリカ、レブロンは「試されるのは大歓迎」と決勝へ意気込み<DUNKSHOOT>

秋山裕之

2024.08.09

終始劣勢の展開のなか、アメリカはレブロン、カリー、デュラントの活躍で大逆転勝利を収めた。(C)Getty Images

「俺たちはどんなタイプのバスケットボールにも対応できる。ディフェンスで全員が集中している時は世界でもベストなチームだ。もちろん、俺たちはショットも決められる。第4クォーターは全員で団結してプレーした。そのお陰で勝利できたんだ」

 そう語ったのは、アメリカ代表のケビン・デュラント。現地8月8日に行なわれたパリオリンピックの男子バスケットボール準決勝で、アメリカはセルビアを95-91で下して決勝進出を果たした。

 この試合でアメリカがリードしたのは、40分のうち3分25秒間のみ。準々決勝までの4試合でいずれも17点差以上をつけて勝利を飾ってきた王者は、決勝の舞台を前に今大会最大の苦戦を余儀なくされた。

 第1クォーター途中からセルビアが主導権を握り、第2クォーター中盤には最大17点差をつけられる。後半にアメリカが追い上げを図るも、なかなか差は縮まらず、第4クォーター開始時点でも13点差がついていた。

 しかし、最後に笑ったのは豪華戦力を誇るチームUSAだった。逆転の立役者となったのは9本の3ポイントを含むゲームハイの36得点に8リバウンドをマークしたステフィン・カリー、16得点、12リバウンド、10アシストのトリプルダブルを達成したレブロン・ジェームズ、クラッチタイムに貴重な追加点となるジャンパーとターンオーバーを誘発する好守を見せたデュラント(9得点)、19得点を奪ったジョエル・エンビードだ。
 
 コート上の選手たちが連動し、素早いボールムーブメントと正確なショットで得点を重ねたセルビアのチームプレーは、確かにアメリカを上回っていた。

 それでも、アメリカは終盤に "スーパースタートリオ"がギアを上げる。残り3分41秒にレブロンのレイアップで同点に追いつくと、再び2点を追う展開でカリーが長距離砲をヒット。第1クォーター中盤以来初のリードを奪うと、その後もレブロン、カリー、デュラントが加点。チーム最後の13得点をこの3選手が叩き出し、難敵セルビアを仕留めてみせた。

 また、セルビアにとっては主砲ニコラ・ヨキッチのファウルトラブルも痛かった。この試合で17得点、5リバウンド、11アシストと大車輪の活躍を見せたビッグマンは、第4クォーター残り7分19秒に4つ目のファウルが宣告されると、ここからエンビードのショットを止められず。エンビードは残り6分から4分20秒までの間に7得点を稼ぎ出し、その後の大逆転につなげた。
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「これから先の人生でずっと記憶に残る。特別な勝利だった」