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NBA

NBAの欧州進出は実現するか?「競技全体のためにいいこと」「競争相手が増えれば知名度も上がる」と選手からは歓迎の声も<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2025.02.03

ペイサーズのターナー(右)はNBAの欧州進出について「競争相手が増えればNBAの知名度も上がるし、視聴者も増える」と歓迎していた。(C)Getty Images

ペイサーズのターナー(右)はNBAの欧州進出について「競争相手が増えればNBAの知名度も上がるし、視聴者も増える」と歓迎していた。(C)Getty Images

 1月23日と25日にフランスの首都パリで行なわれたサンアントニオ・スパーズとインディアナ・ペイサーズによるNBAパリゲームズ2025は、ここ最近、ヨーロッパで大きな話題となっているNBAの欧州進出構想に一層スポットライトを当てる機会となった。

 イベント中のメディアセッションでも必ずこの話題が飛び出し、選手たちにも意見を問う質問が投げかけられた。

 カナダ出身のペイサーズのベネディクト・マサリンは、「カナダには優れた選手がたくさんいるけれど、全員がNBAや国外で活躍する場を得られるわけじゃない。だから、活動の舞台が広がることに僕はとてもポジティブな印象を抱いている。NBAに関しても、拡大しようとしていることは、この競技全体のためにいいことだと思う」とコメント。

 同じくペイサーズのマイルズ・ターナーも「とてもいいと思う。イカしたアイデアだ。世界最高のバスケットボールがどこでプレーされているか、という議論でもあるね。そしてヨーロッパにはアメリカとは違ったプレースタイルがある。自分は間違いなくそのアイデアにはオープンだ。競争相手が増えればNBAの知名度も上がるし、視聴者も増える。 それに(運営面での)パートナーだって現われるかもしれない」と歓迎していた。

 NBAコミッショナーのアダム・シルバーにも記者からこの質問が集中。ただ、「すでに話し合いが行なわれているのは事実で、現時点ではさまざまな可能性を探っている最中。しかしまだ発表する段階の決定事項は何もない」と返すにとどまった。
 
 そもそも、なぜNBAをヨーロッパに拡大する必要があるのか。

 端的に言えば、マーケットを広げてNBAのブランド力を高め、そのことでより収益を上げ、それを競技のレベルアップに還元するのが運営側の描く青写真だ。

 NBAのステークホルダーたちとの会合でも、サッカーの世界的、とりわけヨーロッパでの商業的な成功をNBAの現状を見比べた時、リーグは何かアクションを起こすべきという考えに至ったとコミッショナーは説明する。

「我々はより商業的に発展する機会を生み出すチャンスがあるかを注意深く見守っている。 そうした商業的な機会が収益の増加につながるだけでなく、市場を刺激することができれば、さらなる投資が得られると信じているからだ。

 そして結果的に、それがあらゆるレベルでこの競技を成長させる手段となる。このスポーツを成長させるには、熱烈なバスケットボールファン以外の層にもアピールすることが必要だ。それがアメリカやその他の国々で我々が成功を収めている理由でもある」

 音楽やファッション、文化、芸術とも結びついたNBAのブランド力は非常にユニークで、かつ多くの人々を魅了できる強力な武器であることは間違いない。

 具体案としては、「ヨーロッパにまったく新たなリーグを作る」「既存のいくつかのクラブが参戦する」「世界的にメジャーなサッカークラブの提携クラブが参加」等々、現時点ではアイデアも可能性も無限大だが、コミッショナーがひとつ明確にしたのは、いずれの場合であっても、国際バスケットボール連盟(FIBA)と協力して進められる点だ。
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