専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
NBA

NBAの欧州進出は実現するか?「競技全体のためにいいこと」「競争相手が増えれば知名度も上がる」と選手からは歓迎の声も<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2025.02.03

 2021年に最初のシーズンが行なわれたアフリカ大陸間のリーグ、バスケットボール・アフリカリーグ(BAL)も、NBAとFIBAの協力体制で運営されている。

 しかし、実際に両者が提携するとなれば、”ルールの統一”という問題が浮上する。

 欧州とNBAとでは、コートの広さやルールなど、さまざまな違いがある。顕著なところでは、NBAの3ポイントラインは7.25mで、6.75mのFIBAより50cm遠い。さらにFIBAでは、ディフェンスの3秒ルールは存在しない。

 1クォーターの時間も、ヨーロッパやFIBAでは10分、NBAでは12分と異なるが、先日シルバー・コミッショナーはアメリカのメディアに「10分ゲームのファンだ」と語り、変更の可能性を匂わせた。世界的なスタンダードに合わせるためだけでなく、「テレビ中継でも1ゲーム2時間以内が望ましい」と現在のライフスタイルも理由に挙げた。

 スパーズOBで、NBAとヨーロッパでプロを体験し、現在はフランスのパリ・バスケットボールのHC(ヘッドコーチ)を務めるティアゴ・スプリッターは、次のように持論を語った。

「10分制の方がより1分間に重みがあるのは明らかだ。1ポゼッションに対する意識やインテンシティは10分制の方がハードだからね。しかし、すでに膨大なスタッツやデータがあって、3ポイントラインを変更したらそれらはどうなるか、といった問題が浮上する。その点も考慮しつつ、運営側がベストな方法をとっていくだろう」
 
 前出のターナーは、FIBAのルールとNBAのルール、どちらでプレーしたいかと聞かれ、「どちらでもいいかな。FIBAのルールでも構わないよ。リングにぶつかっていくようなプレーは好きだからね」と答えている。

 仮にNBAのリーグにヨーロッパのチームが組み込まれ、レギュラーシーズン中に、このパリゲームズのような大陸間の移動が組み込まれるようになると、移動の疲れや慣れない環境への適応など、プラスαのストレスが生じることを懸念する声も出てくるだろう。

 もっとも、ペイサーズのリック・カーライルHCは、現代の選手たちについてこんな興味深い発言をしていた。

「NBAの世界には、常に(競技に集中する)妨げになりそうな雑多なことが山ほどあるから、すでに当たり前のことになっていて、選手たちはそれに非常にうまく対処している。彼らにはそうしたことを区別して切り替える能力があるんだ。昔の世代の選手たちよりもずっと上手くやっているように思うね。それは現代の選手たちが進化した部分だと言える」

 昔と違って、現代は日常的にソーシャルメディアやデジタルコンテンツへの対応などもあり、そうした環境に慣れ親しんでいる今の選手たちは、イベントごとへの耐性が実に高いのだそうだ。

 選手全体の30%をアメリカ国外の出身者が占めている現在のNBAは、もはやアメリカ国内のイベントではなく、グローバルな展開こそが自然な流れなのだろう。

 ヨーロッパ構想はまだ草稿の段階だが、今後も欧州でのNBAゲームは続きそうで、次回はドイツでの開催が予想されている。

文●小川由紀子

NBAが近い将来、ヨーロッパに進出?コミッショナーや欧州の関係者たちがリーグ拡大について注目発言<DUNKSHOOT>

フランスの至宝の凱旋にファンは大盛り上がり!パリゲームズで“大統領並み”のスケジュールをこなしたウェンバンヤマ<DUNKSHOOT> 
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号