NBA

故障悪化のリスクを承知でサンダーとの第7戦に出場したゴードン「チームのためにコートへ立ちたかった」<DUNKSHOOT>

秋山裕之

2025.05.19

第7戦を欠場する選択肢は、ゴードンになかったという。(C)Getty Images

 デンバー・ナゲッツのアーロン・ゴードンは、オクラホマシティ・サンダーとのプレーオフ・カンファレンス準決勝第6戦で左ハムストリングを負傷。数週間の離脱が予想されるグレード2と診断されたことから、3勝3敗で迎える天下分け目の第7戦への出場は難しいと予想されていた。

 ところが、ゴードンはケガを押して強硬出場。チームは93-125と大敗を喫したものの、ゴードンはゲーム最多タイの11リバウンドを奪うなど、魂のプレーを見せた。

 試合後に明かしたところによると、ゴードンはサンダーとのシリーズ第7戦について、「なんの疑いの余地もなく」出場する気でいたようだ。

「(出場するため)自分にできることをすべてやってきた。温めたり、冷やしたり、マッサージしたり、高圧酸素治療も受けた。僕は自分のチームのためにコートへ立って戦いたかったんだ。もっといいプレーができていれば良かったのに」

 サンダーとのシリーズ7戦で平均13.6点、9.4リバウンド、3.3アシスト、3ポイント成功率44.1%(平均2.1本成功)をマークしたゴードンは、初戦で決勝弾となる3ポイント、第3戦でも延長へ持ち込む長距離砲を沈めるなどシリーズのキープレーヤーとなっていた。

 2023年の王者は、昨年のプレーオフでもカンファレンス・セミファイナルでも第7戦の末にミネソタ・ティンバーウルブズに敗れていただけに、その悔しさを払拭したかったのだろう。
 
 ゴードンの頭の中では、サンダーとの第7戦に勝って、ウルブズとのカンファレンス・ファイナルで数試合を欠場してケガの治療に充てるプランだったようだ。

「多分そうなっていたと思う。次のラウンドを迎えるにあたって、最低2、3試合は欠場するとね。だからこのケガを乗り越えることができたら、少し欠場して次のシリーズ途中で復帰するんだと言ってきた」

 第7戦で最終的にブローアウトの末に散ってしまったとはいえ、ナゲッツが見せた粘りは今年も見事で、素晴らしいチームだったことは間違いない。

 その一方で、ハムストリングのケガは復帰まで長引く恐れもあり、一度肉離れを起こすとその頻度が増す可能性もあったが、ゴードンはこう口にしていた。

「このケガのリスクは承知していた。けど僕はこのチームのためにコートへ立ちたかった。そのために全力を尽くしたんだ」

 ナゲッツ在籍5年目のゴードンは、3ポイントに磨きをかけてチームが欲する、そしてプレーオフを勝ち上がるうえで重要な役割をこなす選手としての地位を確立したと言っていいはずだ。

文●秋山裕之(フリーライター)

【画像】NBA最強の選手は誰だ?識者8人が選んだ21世紀の「ベストプレーヤートップ10」を厳選ショットで紹介!
NEXT
PAGE
【動画】ケガを押して…ゴードンの魂のプレー!