アジア出身のNBA選手では、日本の八村塁(ロサンゼルス・レイカーズ)、メンフィス・グリズリーズなどでプレーした渡邊雄太(現千葉ジェッツ)がそれぞれ6年のキャリアを持ち、中国出身のイー・ジャンリャン(元ニュージャージー・ネッツほか)とワン・ジジ(元ダラス・マーベリックスほか)が5年プレーしてきた。
もっとも、アジア出身(オセアニアを除く)で最も成功を収めたのは中国出身のヤオ・ミンで間違いないだろう。229cm・141kgのセンターは、2002年のドラフトでヒューストン・ロケッツから全体1位指名され、NBAで9シーズン(実働8シーズン)を過ごした。
通算486試合で平均19.0点、9.2リバウンド、1.9ブロックにフィールドゴール成功率52.4%、フリースロー成功率83.3%を記録した“歩く万里の長城”は、オールスターに8度、オールNBAチームに5度も名を連ねたほか、2016年にはバスケットボール殿堂入りも果たしている。
圧倒的な高さとシャキール・オニール(元レイカーズほか)とも渡り合ったパワーの持ち主だったヤオは、ポストプレーから点を取るだけでなく、柔らかいシュートタッチからジャンパーもスムースに決めることができ、3シーズンで平均20点以上を記録。
相次ぐ足のケガに悩まされ、2011年に30歳の若さで引退を余儀なくされたが、元チームメイトはヤオの才能を高く評価していた。
現地時間7月3日(日本時間4日)に公開された人気ポッドキャスト番組『ALL THE SMOKE』へ出演したカッティーノ・モーブリー(元ロケッツほか)は、中国出身のビッグマンについて、ニコラ・ヨキッチ(デンバー・ナゲッツ)を引き合いに出してこう話していた。
「ヤオについてみんな気づいていないことがある。彼はジョーカー(ヨキッチ)のようにパスができた。彼はもっとできたんだ。でも(ロケッツの)オフェンスがそうさせなかった。もし僕らのコーチがリック・アデルマンだったら、もっとパスを捌くヤオ・ミンの姿を目にしていたはずだ。クリス・ウェバーやブラデ・ディバッツ、ブラッド・ミラーのようにね。ヤオには、そのスタイルでプレーするためのすべての資質が備わっていたんだ」
モーブリーが挙げた3人のビッグマン(ウェバー、ディバッツ、ミラー)は、アデルマンHC(ヘッドコーチ)が指揮を執ったサクラメント・キングスに所属していた当時、オフェンスの中継役、時には起点になってチームメイトの得点チャンスを演出していた。
ヤオのキャリア平均アシスト数は1.6本で、1試合最多は7本だった。ただ、ロケッツで2年間共闘したモーブリーは、彼のパサーとしての能力の高さが印象に残っているようだ。
しかし、当時ロケッツはジェフ・ヴァン・ガンディHCの下、モーブリーとスティーブ・フランシスのガード陣がオフェンスの中心で、さらに守備を基調としていたこともあって、ヤオのパッシングスキルを披露することはほとんどなかったとモーブリーは振り返る。
「僕らのオフェンスを止めてしまった唯一の要因は、コーチだったと思う。彼はオフェンスを自由に展開させるのではなく、まるでパット・ライリー(現マイアミ・ヒート球団社長)が戻ってきたかのようなスタイルでプレーさせた。1試合あたりのポゼッションはせいぜい70回程度。今になって思うのは、もしもっと才能ある選手が周りにいたらどうなっていただろう、ということ。オフェンスは考えるものじゃなくて、もっとゲームの流れの中で展開されるべきなんだ」
チーム事情で“パサー・ヤオ”が誕生することはなかったが、その技術はヨキッチに匹敵するレベルだったようだ。
文●秋山裕之(フリーライター)
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通算486試合で平均19.0点、9.2リバウンド、1.9ブロックにフィールドゴール成功率52.4%、フリースロー成功率83.3%を記録した“歩く万里の長城”は、オールスターに8度、オールNBAチームに5度も名を連ねたほか、2016年にはバスケットボール殿堂入りも果たしている。
圧倒的な高さとシャキール・オニール(元レイカーズほか)とも渡り合ったパワーの持ち主だったヤオは、ポストプレーから点を取るだけでなく、柔らかいシュートタッチからジャンパーもスムースに決めることができ、3シーズンで平均20点以上を記録。
相次ぐ足のケガに悩まされ、2011年に30歳の若さで引退を余儀なくされたが、元チームメイトはヤオの才能を高く評価していた。
現地時間7月3日(日本時間4日)に公開された人気ポッドキャスト番組『ALL THE SMOKE』へ出演したカッティーノ・モーブリー(元ロケッツほか)は、中国出身のビッグマンについて、ニコラ・ヨキッチ(デンバー・ナゲッツ)を引き合いに出してこう話していた。
「ヤオについてみんな気づいていないことがある。彼はジョーカー(ヨキッチ)のようにパスができた。彼はもっとできたんだ。でも(ロケッツの)オフェンスがそうさせなかった。もし僕らのコーチがリック・アデルマンだったら、もっとパスを捌くヤオ・ミンの姿を目にしていたはずだ。クリス・ウェバーやブラデ・ディバッツ、ブラッド・ミラーのようにね。ヤオには、そのスタイルでプレーするためのすべての資質が備わっていたんだ」
モーブリーが挙げた3人のビッグマン(ウェバー、ディバッツ、ミラー)は、アデルマンHC(ヘッドコーチ)が指揮を執ったサクラメント・キングスに所属していた当時、オフェンスの中継役、時には起点になってチームメイトの得点チャンスを演出していた。
ヤオのキャリア平均アシスト数は1.6本で、1試合最多は7本だった。ただ、ロケッツで2年間共闘したモーブリーは、彼のパサーとしての能力の高さが印象に残っているようだ。
しかし、当時ロケッツはジェフ・ヴァン・ガンディHCの下、モーブリーとスティーブ・フランシスのガード陣がオフェンスの中心で、さらに守備を基調としていたこともあって、ヤオのパッシングスキルを披露することはほとんどなかったとモーブリーは振り返る。
「僕らのオフェンスを止めてしまった唯一の要因は、コーチだったと思う。彼はオフェンスを自由に展開させるのではなく、まるでパット・ライリー(現マイアミ・ヒート球団社長)が戻ってきたかのようなスタイルでプレーさせた。1試合あたりのポゼッションはせいぜい70回程度。今になって思うのは、もしもっと才能ある選手が周りにいたらどうなっていただろう、ということ。オフェンスは考えるものじゃなくて、もっとゲームの流れの中で展開されるべきなんだ」
チーム事情で“パサー・ヤオ”が誕生することはなかったが、その技術はヨキッチに匹敵するレベルだったようだ。
文●秋山裕之(フリーライター)
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