昨夏のクレイ・トンプソン（現ダラス・マーベリックス）に続き、また１人、王朝を知る生え抜き選手がチームを去ることになった。

　ケボン・ルーニーは2015年のプロ入りから10年間ゴールデンステイト・ウォリアーズ一筋でプレーし、縁の下の力持ちとして2017、2018、2022年と３度の優勝に貢献。

　しかし、完全FA（フリーエージェント）となった今夏にニューオリンズ・ペリカンズと２年1600万ドル（約23億3600万円）の契約を結び、慣れ親しんだチームを退団することになった。

　ルーニーは10年間のキャリアで平均5.0点、5.7リバウンド、1.6アシスト、自己ベストは2022―23シーズンの平均7.0点とスター選手ではなかったが、チームのシステムを熟知し、自身の役割を着実に遂行する理想的なロールプレーヤーだった。

　そんな29歳のビッグマンへ、スティーブ・カーHC（ヘッドコーチ）はウォリアーズのソーシャルメディアを通じてこう感謝していた。

「君にはただただ、ありがとうと言いたい。君がいなくなってしまったことは辛いよ。10年間、君のことを指導できたことは私にとって素晴らしい経験になった。

　君のプロフェッショナリズム、品格、気品、自身をうまくコントロールしてきたこと、若いチームメイトたちへ見せたメンターとしての姿、そしてもちろん、何度もチャンピオンシップ獲得に貢献してくれたことに感謝しているよ」
  　なお、今オフのウォリアーズは、ドラフトが絡んだ７チーム間トレードで２人のルーキー（アレックス・トゥーヒー、ジャマイ・メイシャック）を獲得。しかしFA戦線では、ベテランビッグマンのアル・ホーフォードの獲得を狙っていると報じられたが、現時点では新たに契約した選手は皆無となっている。

　チームにはカリー、グリーン、ジミー・バトラーの３本柱にシューターのバディ・ヒールド、若手のブランディン・ポジェムスキー、モーゼス・ムーディー、トレイス・ジャクソン・デイビスらがいるとはいえ、ルーニー退団はケミストリーの面でも影響を及ぼすかもしれない。

「我々は心から君に感謝している。私は感謝してもしきれない。君がニューオリンズで得た機会を楽しみにしている。ただ、我々は君がいなくなって寂しくなるよ。私やこのチームのスタッフ、それにベイ（エリア）のために君がやってくれたすべてのことに感謝している。ルーン（ルーニー）、君は本当に最高だよ」

　指揮官の言葉からも、彼がコート内外でウォリアーズという球団にどれほど貢献してきたかが窺える。来季本拠地のチェイス・センターへ凱旋する試合で、ウォリアーズファンはルーニーを大歓声で出迎えることになるだろう。

文●秋山裕之（フリーライター）

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