「ティムはコーチングについて何ひとつ分かっていない。なぜ彼をACに任命したのか自分でも分からないよ。彼は私に19年間給料を払い続けてくれたから、義理を感じたのかもね」
アメリカ代表を率いたW杯前の強化合宿中、ポポビッチはそんな人を食ったコメントを残していたが、この言葉も愛情と信頼の裏返しに過ぎない。ダンカンはウィル・ハーディ、ハモンとともにアシスタントを務め、恩師を支えている。ゲーム前には選手たちの練習に熱心に付き合い、試合中にも的確にアドバイスを送っているという。
「言葉を発しなくとも、彼の存在感には価値がある。側にいると、適切なことをやらなければいけないという気持ちにさせられるんだ。(それに)彼はジョークを飛ばし、雰囲気をより良いものにしてくれる」
ESPNのポッドキャストに出演した際、パティ・ミルズはそう語っていた。こうしてチーム内で信頼度を高めていることは、昨年11月16日のポートランド・トレイルブレイザーズ戦でポポビッチが退場になった後、HC代行を任されたことからも窺い知れる。現役時代もエゴのないスーパースターとして定評があっただけに、コーチとしての適性も備えているのだろう。
もともとポポビッチ門下生はNBAでは評価が高い。現在もマイク・ブーデンホルザー(ミルウォーキー・バックス)、ブレット・ブラウン(フィラデルフィア・76ers)、モンティ・ウィリアムズ(フェニックス・サンズ)、ジム・ボイレン(シカゴ・ブルズ)、ジェームズ・ボーレゴ(シャーロット・ホーネッツ)の5人がHCとして活躍中。ハモンも遠からぬうちに史上初の女性HCとなることが有力視されている。ダンカンもいずれはポポビッチの後任HC候補として浮上するのだろうか。
そのような推測はまだ気が早すぎるのかもしれないが、まずはこのスタービッグマンがNBAに戻ってきたことを喜びたい。ダンカンがポポビッチの隣にいる姿は、ファンを安心させ、喜ばせる。今季終了後にでも久々にメディア対応する時、無口なダンカンがコーチとしてのルーキーイヤーをどんな言葉で振り返るのかが楽しみである。
文●杉浦大輔
※『ダンクシュート』2020年3月号掲載原稿に加筆・修正。
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アメリカ代表を率いたW杯前の強化合宿中、ポポビッチはそんな人を食ったコメントを残していたが、この言葉も愛情と信頼の裏返しに過ぎない。ダンカンはウィル・ハーディ、ハモンとともにアシスタントを務め、恩師を支えている。ゲーム前には選手たちの練習に熱心に付き合い、試合中にも的確にアドバイスを送っているという。
「言葉を発しなくとも、彼の存在感には価値がある。側にいると、適切なことをやらなければいけないという気持ちにさせられるんだ。(それに)彼はジョークを飛ばし、雰囲気をより良いものにしてくれる」
ESPNのポッドキャストに出演した際、パティ・ミルズはそう語っていた。こうしてチーム内で信頼度を高めていることは、昨年11月16日のポートランド・トレイルブレイザーズ戦でポポビッチが退場になった後、HC代行を任されたことからも窺い知れる。現役時代もエゴのないスーパースターとして定評があっただけに、コーチとしての適性も備えているのだろう。
もともとポポビッチ門下生はNBAでは評価が高い。現在もマイク・ブーデンホルザー(ミルウォーキー・バックス)、ブレット・ブラウン(フィラデルフィア・76ers)、モンティ・ウィリアムズ(フェニックス・サンズ)、ジム・ボイレン(シカゴ・ブルズ)、ジェームズ・ボーレゴ(シャーロット・ホーネッツ)の5人がHCとして活躍中。ハモンも遠からぬうちに史上初の女性HCとなることが有力視されている。ダンカンもいずれはポポビッチの後任HC候補として浮上するのだろうか。
そのような推測はまだ気が早すぎるのかもしれないが、まずはこのスタービッグマンがNBAに戻ってきたことを喜びたい。ダンカンがポポビッチの隣にいる姿は、ファンを安心させ、喜ばせる。今季終了後にでも久々にメディア対応する時、無口なダンカンがコーチとしてのルーキーイヤーをどんな言葉で振り返るのかが楽しみである。
文●杉浦大輔
※『ダンクシュート』2020年3月号掲載原稿に加筆・修正。
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