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NBA

アイザイア・トーマス――苦難を乗り越え輝いた“バッドボーイズ”ピストンズのリーダー【レジェンド列伝・前編】<DUNKSHOOT>

出野哲也

2025.10.06

 1984年のプレーオフ1回戦、対ニックスの第5戦で第4クォーター残り2分から16得点を稼ぐ奇跡的な得点ショーを繰り広げた時も、まさしく孤軍奮闘で試合には敗れた。

 それでも、次第にトーマスをサポートできる選手たちも集まり始めた。入団当初のルームメイトだったビル・レインビアは、体格から性格、政治的信条まであらゆる意味でトーマスとは対照的だったが、極めて頭が切れる点と、勝利に対して強い執着心を持つところは共通していた。

 1985年には優れたディフェンダーであるジョー・デュマースが入団し、トーマスとのガードコンビが完成。続いてリック・マホーン、デニス・ロッドマンら頑強な肉体と精神力を併せ持つ守備の名手たちが加入し「全員が口から血を流すまで戦う」(マジック・ジョンソン談) 史上最悪の荒くれ集団 “バッドボーイズ”が形成された。

 バッドボーイズのリーダーとして、トーマス以上の人材はいなかった。

「私は自分でリーダーだと言ったことはない。いつだって、自然とリーダーになっていたのさ」
 
 この天性の資質に加え、必要な時に得点とアシストパスを使い分ける判断力も抜群だった。「トーマスの身長がもう少し高かったら、彼こそがマイケル・ジョーダンになっていただろう」とさえ言われた。

 ただ、当時はラリー・バードを擁するセルティックスの全盛時代。バスケットボールセンスやメンタル面の強さで、バードはトーマスと同等かそれ以上のものを持っており、ケビン・マクヘイルやロバート・パリッシュらのチームメイトの質、チームの一体感でもセルティックスが一枚上だった。

 1986-87シーズンのカンファレンス決勝で対戦した時は、勝利を目前にしながらトーマスのインバウンズパスをバードがスティールし、そこから逆転のアシストにつなげる神業的なプレーで敗れてしまった。悔しさのあまり「バードが今の地位にいるのは白人だからだ」というロッドマンの発言に同調してしまい、トーマスは後日涙ながらに謝罪する羽目にもなった。(後編に続く)

文●出野哲也
※『ダンクシュート』2008年3月号原稿に加筆・修正

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