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輝かしい現役時代から一転…“無能経営”“セクハラ”など引退後は失敗続きのトーマスがNBAに戻る日は来るのか【レジェンド列伝・後編】<DUNKSHOOT>

出野哲也

2025.10.10

現役引退後のトーマスはフロント職で失敗が続き、NBAの舞台から遠ざかっている。(C)Getty Images

現役引退後のトーマスはフロント職で失敗が続き、NBAの舞台から遠ざかっている。(C)Getty Images

■不屈の闘志を武器に、念願のNBA制覇を達成

 それでも翌シーズンはついにセルティックスを倒し、ファイナルでマジック・ジョンソン率いるレイカーズと対戦した。マジックの自宅にはトーマスの宿泊用の部屋があるほど彼らは仲が良く、対戦前には必ず挨拶代わりのキスを交わしていたが、ピストンズはいつも通りのフィジカルなプレーを繰り広げ、怒ったマジックがトーマスにヒジ打ちを食らわせる場面もあった。

 3勝2敗とピストンズの王手で臨んだ第6戦、第3クォーターで14連続得点を決めるなど乗りに乗っていたトーマスは、右足首をひどく捻って倒れ込む。苦痛に顔をゆがめて一旦はベンチに下がったものの、早くも35秒後にはコートに戻ってきた。

「足首の痛みは我慢できた。それよりも、こんなことで今まで積み上げてきたものを失う方が耐えられなかった」

 足を引きずりながらもトーマスはシュートを決め続け、クォーター25点のファイナル新記録を達成。試合全体では43得点をあげた。最後の最後で逆転負けし、第7戦にも敗れて優勝も逃したとはいえ、トーマスの英雄的な活躍に誰もが手放しで称賛の声を送った。
 
 しかし翌1988-89シーズンには、またしても非難の矢面に立たされる。シーズン中盤、主力選手のエイドリアン・ダントリーがマーベリックスへトレードされたのだが、その首謀者がトーマスだと言われたのだ。

 もちろんその噂には 根拠があった。トレードの交換相手が、幼なじみのアグワイアだったからである。ダントリーは「優勝するチャンスを奪われた」と憤慨し、ダントリーの母親までがトーマスを「チビの詐欺師」と罵倒した。

 こうしたゴタゴタはあったが、アグワイアの獲得は吉と出た。トレード後のピストンズは31勝6敗の快進撃で、プレーオフでもブルズを叩きのめして望み通りレイカーズとの再戦が実現。レイカーズに故障者が続出したこともあり、ピストンズは4連勝で球団史上初の優勝を成し遂げた。

「8年間追い求めてきたものをついに手に入れたんだ。苦労も多かったけど、その分喜びも大きいよ」

 入団当時の公約を果たしたトーマスは誇らしげに語った。

「このチームはセルティックスやレイカーズほど才能には恵まれていない。けれども、足りない部分を賢さとタフさ、そして意志の力で補った。信頼の深さと絆の強さは、他のどこにも決して負けないさ」
 
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