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NBA

デイビッド・ロビンソン――頭脳明晰で成績優秀、NBA史上最高の優等生【レジェンド列伝・前編】<DUNKSHOOT>

出野哲也

2023.10.04

NBAデビューは2年遅れたロビンソンだが、1年目から平均24.3点、12.0リバウンド、3.9ブロックを叩き出し、下位に低迷していたスパーズを上位に押し上げた。(C)Getty Images

NBAデビューは2年遅れたロビンソンだが、1年目から平均24.3点、12.0リバウンド、3.9ブロックを叩き出し、下位に低迷していたスパーズを上位に押し上げた。(C)Getty Images

■頭脳明晰、成績優秀な完全無欠の優等生

 勝手な想像なのだが、1992年のバルセロナ五輪ドリームチームの勝利を誰よりも喜んだメンバーは、デイビッド・ロビンソンではなかったろうか。

 マジック・ジョンソン、ラリー・バード、マイケル・ジョーダンら当時のスター選手が勢揃いしたドリームチームでは、ジョーダン、パトリック・ユーイング、クリス・マリンの3人が84年のロサンゼルス五輪で金メダルを手にしていた。

 ロビンソンも88年ソウル五輪の出場経験があったが、ジョーダンたちとはメダルの色が違った。準決勝でソ連に敗れ、屈辱の銅メダルに終わったのである。バルセロナでの金メダル奪還は、ロビンソンにとって絶対に成し遂げねばならぬ使命だった。

 優等生とはロビンソンのためにあるような言葉だ。多くのNBA選手が若い頃貧困にあえいだり、非行に走ったり、学業を疎かにする中、ロビンソンはそのいずれにも当てはまらなかった。 長年海軍で働いていた父親の下、勤勉で実直な性格に育てられ、成績優秀であるだけでなく、ピアノでモーツァルトを弾きこなす優雅さも持ち合わせていた。進学先の海軍士官学校では数学を専攻し、NBA選手になることなど頭の片隅にもなかった。
 
 ところが、高校卒業当時193㎝だった身長が入学後216㎝まで伸びたことが、バスケットボール選手としての道を切り拓いた。ただでさえ抜群だった運動神経に、身長という最大の武器が加わったことで無敵のセンターとなり、3年時には平均5.91ブロックでNCAAディビジョンIの新記録を樹立。

 4年生では満票で年間最優秀選手に選出され、87年NBAドラフトの目玉選手となった。卒業後2年間の兵役義務が懸念されたものの、1位指名権を持つサンアントニオ・スパーズは2年待つ価値があると判断し、迷わずロビンソンを指名した。

 順風満帆のロビンソンの人生において、ソウル五輪で金メダルを逃したのはほとんど最初の挫折だった。「普通はオリンピックのメダリストともなったら、誇りに思えるのだろう。でも私にとって、銅メダルは国に恥をかかせたとの思いしかない」

 その無念さを、ロビンソンはNBAの舞台でぶつけた。2年遅れのデビューとなった89-90シーズンの成績は平均24.3点(リーグ10位)、 12.0リバウンド (2位)、3.89ブロック(3位)。 6か月連続で月間優秀新人に選ばれ、もちろん新人王を受賞。前年21勝しかできなかったスパーズは一気に55勝へ躍進した。
 
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