控えとして起用された96－97シーズンにはシックスマン賞を受賞するなど、活躍を続けていたスタークス。しかし、ニューヨークとの別れは突然訪れた。99年１月、ラトレル・スプリーウェルとの交換で古巣ゴールデンステイト・ウォリアーズへのトレードが決まったのである。

「どこへ行ってもニューヨークへの思いは変わらない。この街の人たちは、全力を尽くす者には敬意をもって接してくれる。そんな多くのファンを楽しませ、素晴らしい時を過ごせたよ」

　彼に代わり、ニックスで背番号３を背負ったデニス・スコットは、ファンの容赦ないブーイングを浴びてしまう。これに対しスタークスは「スコットには気の毒だが、そのくらい俺の番号は彼らにとって大きな意味を持っていたのさ」と話していた。
  　スプリーウェルの大活躍により、ニックスは99年にファイナル進出を果たす。このトレードは、彼らにとっては結果的に大正解となった。その一方で、スポットライトの当たらなくなったスタークスは、ウォリアーズからブルズ、ユタ・ジャズへと流れていく過程で輝きを失っていった。

　2013年７月には、スタークスが少年時代にピックアップ・ゲームをしていた公園が、“ジョン・スタークス・パーク”と改称。記念式典には自身も出席し、かつての仲間たちと旧交を温めた。スタークスは間違いなく、タルサという街の英雄なのだ。

　同時に、彼はニューヨークとも深い絆で結ばれている。ニックスの同窓会部門の担当を任され、バスケットボール・キャンプを開き、奨学金のプログラムも運営している。生まれこそ遠いオクラホマでも、スタークスはニックスの象徴であり、永遠のニューヨーカーなのだ。

文●出野哲也

※『ダンクシュート』2013年２月号掲載原稿に加筆・修正

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