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NBA

【NBAスター悲話】レジー・ルイス――キャリア絶頂期に突如訪れた死。そして浮上したドラッグ使用疑惑【後編】

大井成義

2020.03.07

 病院では記者会見が大々的に催された。同席したルイス夫妻の顔は喜びに満ちあふれ、不安に駆られていたボストン中の人々が吉報に沸き立った。

 その後ルイスは、代理人の勧めによりロサンゼルスの医師団の診察も受けた。彼らの診断結果は、「心臓底部に異常が認められ、今後さらなる検査が必要である」という、ドリームチーム寄りのもの。マッジの楽観論を真っ向から否定する内容だったが、マッジの診断結果を神の声として受け止めていたルイスにとって、それらは意味を持たなかった。

 7月27日、退院後に数回の簡単な練習をこなしていたルイスは、大学時代の仲間とフルコートのピックアップゲームをすべく、セルティックスの公式練習場であるブランディーズ大の体育館に向かった。午後4時頃到着し、ゲームに備えて1時間のシュート練習で汗を流した。そして――。
 
 午後5時7分、ルイスは再びコートに崩れ落ちる。体育館に居合わせた2人のセキュリティのうちの1人が、たまたま救急看護師の資格を持っており、すぐさま人工呼吸を開始した。もう1人が胸骨を繰り返しプッシュし、救急車が駆けつけるまで必死の救護が続けられた。

 午後5時24分、救急隊が到着。15分間の懸命な努力をもってしても、ルイスを蘇生させることはできなかった。救急隊はルイスを救急車に運び、最寄りのウォルサム・ウェストン病院に猛スピードで向かった。

 その時、自宅にいたドナは、友人のラジオ・パーソナリティから電話を受け取った。ドナは開口一番、「先日検査を受けたら、妊娠2か月半だったわ!」と明るく語った。電話の主は、人生の皮肉を呪いながら告げた。「今すぐウォルサム・ウェストン病院に向かうんだ!」

 病院ではルイスの蘇生処置が懸命に行なわれていた。救急担当医がマッジに連絡すると、彼は半狂乱に陥りながら、「助けるんだ! 絶対に助けるんだ!」、そう電話口で繰り返し叫んでいたという。

 午後7時30分、救急担当医はルイスの臨終を宣告。享年27。あまりにも早すぎる死だった。体育館に向かう際、ルイスは妻に笑顔でこう言い残して出かけて行ったそうだ。

「ドナ、シュートを何本か打ってくるよ」
 
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