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NBA

未曾有の危機に直面するNBA。ベストシナリオは6月に再開、来季は12月に開幕?オフのFA戦線への影響は?

杉浦大介

2020.03.29

収入の減少は、オフにFAになる権利を有するデイビスら多くの選手にとっても大きな影響を及ぼしそうだ。(C)Getty Images

収入の減少は、オフにFAになる権利を有するデイビスら多くの選手にとっても大きな影響を及ぼしそうだ。(C)Getty Images

 実はこの「12月開幕&8月ファイナル案」は、今回の新型コロナ騒動以前からアトランタ・ホークスのスティーブ・クーニンCEOによって提唱されていたアイデアでもある。

 クリスマス前後に開幕すればお祭りの雰囲気は煽れるし、アメリカ国内で大人気のNFLのシーズン(9月~2月)との被りを少なくできる。NFL、NHLがオフで、MLBもシーズン半ばの8月はアメリカンスポーツ全体がイベント枯れの時期。このタイミングでNBAファイナルを開催すれば、確かにこれまで以上の注目を得られるだろう。そんな背景から、このスケジュールを支持するメディアも少なからず存在する。

 NBAはこのクーニン案を具体的に検討したことはなかったが、今冬、やむを得ない形で採用される可能性が浮上してきた。もしそうなれば、来季はいわばモデルケース。この新日程でビジネス面でも大きな成果が出たとすれば、その形が定着しても不思議はないだろう。

 また、新型コロナ渦はスケジュールだけでなく、オフの補強戦線、FA選手の新契約にも響いてきそうだ。今季が再開されるとしても、試合数の減少は確実。それにともなっていわゆるBRI(basketball related income=バスケットボールのゲームに関連する収入)の激減は必至で、選手の収入が減るのも自然の流れである。

 本来であれば、今季約1億910万ドルだったリーグのサラリーキャップは来季1億1500万ドルまで上がると目されていた。しかし、シーズン中断による減収のあとで、近年の着実な上昇にストップがかかるのは仕方ない。
 
 記憶に新しいのは2011-12シーズン。この年はロックアウトの影響で66試合の短縮シーズンとなったために、翌シーズンのサラリーキャップは5800万ドルのままで据え置きになった。その例にならうなら、来季のサラリーキャップも今季同様1億910万ドルのままではないか。

 今オフにはホークス、ホーネッツ、ピストンズ、ヒート、ニックス 、サンズなどが2000万ドル以上のキャップスペースを得るはずだった。それらのチームは潤沢な資金を使っての大型補強を考えていただろうが、やむなく軌道修正を余儀なくされることになる。

 また、贅沢税を科される限度額も1億3260万ドルで据え置きになるとしたら、その意味は大きい。おかげでもともと超過が予想されていたウォリアーズ、76ers、ネッツ、セルティックスだけでなく、ロケッツやバックスもより多くの額を支払わなければならなくなるかもしれない。

 これらの経緯を考慮すると、今夏~秋は近年最大級に“渋いオフ”になる公算が強い。そんな状況下で、今オフにプレーヤーオプション(完全FAになれる権利)を持つアンソニー・デイビス、デマー・デローザン、アンドレ・ドラモンドといったスター選手の決断にも注目が集まる。オプションを行使してFAになることが確実視されていたデイビスも、考えを変える可能性は十分にありそうだ。

文●杉浦大介

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