フラートンで過ごした4年間では、新しい“家族”ができた。ロバートとサンドラのスラッシュ夫妻である。教会で知り合い、やがて深い絆で結ばれるようになったこの夫妻を、ボウエンは実の親のように慕っている。
「彼らは俺がどこにいても、試合を見に来てくれた。本当の親は何の関心も示さなかったのにね。血が水より濃いなんて、俺には信じられない」
最終学年では平均16.3点、6.5リバウンドを記録したが、1993年のNBAドラフトでは指名漏れ。マイナーリーグのCBAからもカットされた彼はフランスへと渡った。ル・アーブル、エブローベサンソンに所属し、平均30点以上をあげた年もあったが、なかなかNBAへの道を切り開くことはできなかった。
「このままヨーロッパでプレーを続けるのも良いかなと思い始めていたんだ。自分と家族を養えるだけの金は稼げたから」
1997年にようやくマイアミ・ヒートと10日間契約を結んだが、出場はわずか1試合。しかも、出番は1分だけだった。
それでも翌1997-98シーズンはボストン・セルティックスに所属し、61試合に出場するなど徐々にNBAでの足場を固めていく。1999年からの2年間は再びヒートに在籍。名将パット・ライリーの下でプレーしたことが、のちの名ディフェンダーの礎となった。
「どうやったら試合に出られるか、パットの目に留まるにはどうすればいいか考え続けた。その答えがディフェンスだった。シュートには好不調の波があるから、調子が悪ければ出してもらえない。でもディフェンスにはそれがないからね」
もともと手足の動きが素早かったため、ディフェンダーとしての素質はあった。それに加えて相手を押したり、ユニフォームを摑んだりしてシュートの邪魔をし、時にはトラッシュトークを仕掛けて精神的に揺さぶりをかけるなど、様々なテクニックを駆使して好守を披露。2001年にはオール・ディフェンシブ2ndチームに選出され、その守備力はリーグ内外に知れ渡るようになる。(後編に続く)
文●出野哲也
※『ダンクシュート』2013年1月号掲載原稿に加筆・修正
【名場面PHOTO】ジョーダン最後のオールスター、コビー81得点、カーターの豪快ダンク……1999-2019 NBA名場面集
「彼らは俺がどこにいても、試合を見に来てくれた。本当の親は何の関心も示さなかったのにね。血が水より濃いなんて、俺には信じられない」
最終学年では平均16.3点、6.5リバウンドを記録したが、1993年のNBAドラフトでは指名漏れ。マイナーリーグのCBAからもカットされた彼はフランスへと渡った。ル・アーブル、エブローベサンソンに所属し、平均30点以上をあげた年もあったが、なかなかNBAへの道を切り開くことはできなかった。
「このままヨーロッパでプレーを続けるのも良いかなと思い始めていたんだ。自分と家族を養えるだけの金は稼げたから」
1997年にようやくマイアミ・ヒートと10日間契約を結んだが、出場はわずか1試合。しかも、出番は1分だけだった。
それでも翌1997-98シーズンはボストン・セルティックスに所属し、61試合に出場するなど徐々にNBAでの足場を固めていく。1999年からの2年間は再びヒートに在籍。名将パット・ライリーの下でプレーしたことが、のちの名ディフェンダーの礎となった。
「どうやったら試合に出られるか、パットの目に留まるにはどうすればいいか考え続けた。その答えがディフェンスだった。シュートには好不調の波があるから、調子が悪ければ出してもらえない。でもディフェンスにはそれがないからね」
もともと手足の動きが素早かったため、ディフェンダーとしての素質はあった。それに加えて相手を押したり、ユニフォームを摑んだりしてシュートの邪魔をし、時にはトラッシュトークを仕掛けて精神的に揺さぶりをかけるなど、様々なテクニックを駆使して好守を披露。2001年にはオール・ディフェンシブ2ndチームに選出され、その守備力はリーグ内外に知れ渡るようになる。(後編に続く)
文●出野哲也
※『ダンクシュート』2013年1月号掲載原稿に加筆・修正
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