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NBA

【名作シューズ列伝】ピッペンとマリンの「AIR FLIGHT LITE MID」は自己主張の少なさが売り?デフォルトBOXは細部にこだわりが

西塚克之

2020.05.02

レフティーのマリンは大舞台でチーム4位の12.9点を奪取。3ポイント成功率は53.8%と自慢のシュート力を見せつけ、金メダル獲得に貢献した。(C)Getty Images

レフティーのマリンは大舞台でチーム4位の12.9点を奪取。3ポイント成功率は53.8%と自慢のシュート力を見せつけ、金メダル獲得に貢献した。(C)Getty Images

 そんな折、ピッペンとマリンがアメリカ代表に選出されたというニュースが飛び込んできました。2人のキャリアを振り返れば、ドリームチーム入りは当然のように思えますが、当時はジョーダンやマジック・ジョンソン、ラリー・バードの“オマケ的”な受け止められ方をしていたことを思い出します。

 NIKEのバッシュにはクイックネスとスピードに長けたガード選手向けの「Flightシリーズ」と、重い体重を支えゴール下でのプレー重視するセンター/フォワード選手向けのForce系という2種類があります。

 Force系はMAX AIRの開発など製作に力を入れていましたが、Flight系はすでに看板商品の「AIR JORDAN」が存在していたため、若干の手抜きのようなものを感じました。



「AIR FLIGHT LITE MID」は、ネーミング上はミッドカットですが、ほぼローカット形をしており、軽量化と動きに特化したデザインになっています。それゆえ無駄な装飾はほとんどありません。他のオリンピックモデルと比べてみても自己主張は少なく、白と白銀のコンビのために遠目には白に紺色のスウッシュがあるだけに見えてしまいます。2人のモデルのため、市販品に背番号などが入ることはありませんでした。
 
 BOXは当然(?)、NIKEデフォルトの“オレンジBOX”。予想通りすぎて清々しさを覚えます。


 
 しかし、注目はネーミング部分が箱に直印刷であること。シューズ名が白抜きなので、このBOX専用の版があり、このわずかな気配りにメーカーの良心を感じさせます。蓋を開けると現われる斜めのストライプ模様。今見てもワクワクする斬新さとメッセージ性が込められており、BOXデザイナーのセンスの良さに感心してしまいます。



 そして「NIKE SPORT SHOES ARE MANUFACTURED TO THE EXACT SPECIFICATIONS OF CHAMPION ATHLETES THROUGHOUT THE WORLD.」(ナイキのシューズは、世界中のチャンピオンアスリート仕様に合わせて製造しています)の文字が。圧倒的な強さで金メダルを獲得したことで、NIKEのトップアスリートを活用したトップダウン形式の戦略(現在のSNSを活用したインフルエンサーコミュニケーションに近い手法の走り)の完成形を見せられた気がしました。

文●西塚克之

【著者プロフィール】
西塚“DUKA”克之/日本相撲協会公式キャラクター「ハッキヨイ!せきトリくん」の作者として知られる人気イラストレーター。入手困難なグッズやバッシュを多数所有する収集家でもあり、インスタグラム(@dukas_cafe)では、自身のシューズコレクションを公開中。ダンクシュートでは名作シューズ列伝『SOLE&SOUL』を連載している。

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