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NBA

驚異の身体能力でダンクの雨を降らせた“レインマン”ショーン・ケンプが、学生時代に残した「武勇伝」

ダンクシュート編集部

2020.05.04

野性味あふれるプレースタイルで90年代のNBAで絶大な人気を誇ったケンプ。96年には相棒のペイトンとともに、ソニックスをファイナルに導いた。(C)Getty Images

野性味あふれるプレースタイルで90年代のNBAで絶大な人気を誇ったケンプ。96年には相棒のペイトンとともに、ソニックスをファイナルに導いた。(C)Getty Images

 ウォーカーは当時すでにNBAで150試合に出場し、翌89年のスラムダンク・コンテストで優勝。“スカイ・ウォーカー”の異名を取ることになる圧倒的なジャンプ力の持ち主をねじ伏せてしまったのだ。

 2年生のフォワード、ショーン・サットンはケンプがウォーカー越しにダンクを決めた後の行動を今でも鮮明に覚えているという。

「ショーンはケニーの真上からダンクを叩き込み、彼の顔を見て『このくそったれ!』と言った。あるいはもっとひどい内容だったかもしれない。誰もが驚いたよ。『アイツはケニーになんて言ったんだ?』ってね。でもショーンが敬意に欠けたことをしていたとは思わない。目の前の勝負に夢中になっていただけさ」

 NBA選手でもない大学生にダンクを決められ、罵声を浴びせられる屈辱を味わったウォーカーだが、ケンプの衝撃は“神様”マイケル・ジョーダンに次ぐものだったと振り返る。

「彼は“manchild(マンチャイルド。肉体的には大人でも、精神的には子どもな人間の意)"だった。私はたいていの場合、相手に対してアドバンテージがあったけど、彼は自分より大きくて強く、同じくらいアグレッシブで、おそらく私より少し性格の悪いヤツと対峙した。レブロン・ジェームズが現われるまで、高校を出たばかりであれだけのフィジカルとジャンプ力を持った選手はいなかった。私は自問自答した、『なんでコイツに対して飛んでしまったのか』と。マイケル・ジョーダン以外では、おそらく私が頭の上からダンクを決められた選手の中で最高の存在だね」
 
 当時アシスタントコーチだったジミー・ダイクスによれば、このピックアップゲームの後、ケンプはダイクスのオフィスに立ち寄り、「俺が世界でベストだ」と言い放ったという。現在『ESPN』でアナリストを務めるダイクスだが、1991~93年にはケンプが在籍したソニックスでスカウトを務めた。1989年のドラフト前にソニックスから指名に関して助言を求められ、その時の回答が「君には見る目がある」と評価された結果の雇用だった。

「彼(ケンプ)は自分が常にコート上で最高の選手だと考えていた。ほとんどの場合、それは正しかった。私が大学で見た選手の中で、最もフィジカルの才能に恵まれていたビッグマンだったからね。彼がチーム(ケンタッキー大)を去ったあと、ソニックスは私に彼を『獲るべきか』と尋ねてきた。間髪入れずに言ったよ、『ショーン・ケンプをドラフトしろ』とね」

 人間的に未熟だったこともケンプの魅力のひとつだったが、凋落することなくキャリアを全うしていれば、相棒だったペイトン同様にバスケットボール殿堂入りを果たすのは必然だっただろう。

構成●ダンクシュート編集部

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