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NBA

「パトリックがチームを傷つけた…」ニックスの用心棒オークリーが、ブルズとの93年カンファレンス決勝の敗因を分析

秋山裕之

2020.05.05

オークリーは第5戦でのユーイングの消極的なプレーとライリーの無策ぶりがシリーズの勝敗を分けたと語った。(C)Getty Images

オークリーは第5戦でのユーイングの消極的なプレーとライリーの無策ぶりがシリーズの勝敗を分けたと語った。(C)Getty Images

 4連続でブロックを食らい、不名誉な形で記憶に残る選手となってしまったスミスだが、こぼれ球を何度ももぎ取り、フェイクでタイミングをずらしてショットを放つ抵抗を見せていた。だが残念なことに、彼をA級戦犯としたメディアやファンがいたことは否定できない。

 しかし、チームの用心棒としてペイントエリアで睨みを利かせていたオークリーは違った。5月3日に『The New York Post』へ掲載された記事の中で、オークリーはスミスを責めるのではなく、ユーイングを敗因に挙げた。

「パトリックは試合終盤にダブルチームされた。彼はダブルチームされた状況でも、フェイダウェイショットを放とうとした。それがあのチームを傷つけたんだ」。

ブルズとのシリーズについて「俺たちは互いに嫌っていた。ものすごくフィジカルだったね。誰かが血を流すまで、ファウルコールがされないくらいだった」と話していたユーイングは、シリーズ平均25.8点、11.2リバウンド、2.5アシスト、1.7スティール。1.8ブロックにフィールドゴール53.0%(61/115)と、大車輪の活躍を見せていた。だがオークリーはこう振り返る。

「俺たちはショットを決められず、相手の思うつぼだった。ブルズはゾーンディフェンスを敷き、壁を作り上げた。ブルズの奴らはパトリックがダブルチームされてもパスしないと分かっていたんだろう」
 
 第5戦終盤。スタークスからボールを受けたユーイングは、ペリメーター右側から左側へとドリブルするも、ダブルチームされた途端にボールを失いそうになり、辛うじてスミスへボールをつないでいた。ブルズ側からすれば、作戦勝ちと言ってもいいプレーだった。

 オークリーはジョーダンとユーイングが持つそれぞれのスターパワーの違いを指摘しつつ、ライリーHCについても「彼はあの状況でまったくと言っていいほどアジャストしなかった。ハーフタイムでも、俺たちは同じことをしただけ。彼らはフルコートでトラップを仕掛けてきたが、俺たちはまったくそんなことをしなかったし、相手にそう考えさせることもなかった」と非難。そしてこのシリーズをこう総括した。

「俺たちは彼らを倒すべきだったが、できなかった。ブルズは多くのファウルコールをもらっていた。マイケルに言ったんだ。『リーグのベストプレーヤーというのは、必要な時に笛を吹いてもらえるのさ』とね。だがマイケルはショットをしっかりと決め切っていたよ」

 オークリーはデビューから3年間ブルズでジョーダンとプレーし、ニックスへ移籍した。ライバルチームの一員として、オークリーはジョーダンがベストプレーヤーへと上りつめる瞬間を見てきたからこそ、歯がゆい思いをしていたのかもしれない。

文●秋山裕之(フリーライター)

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