専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
NBA

シャック、ヒル、コビーらを筆頭とする「ジェネレーションX」が生きた“アメリカンドリーム”の時代

北舘洋一郎

2020.07.16

 ジョーダン、アイバーソン、レブロン・ジェームズを筆頭にアメリカのバスケットボール界にコネクションを持つウェスリーはそんな匂いを感じたのだそうだ。結果論になってしまうが、オールドスクールとジェネレーションXは天才肌のスーパースターが多く、ニュースクールは秀才タイプで努力が全面に見えるタイプのスーパースターだったのだろう。

 経済的にもジェネレーションX世代の選手は若くしてアメリカンドリームを手にすることになった。97年のヒルはデトロイト・ピストンズで約6億円の年俸をもらっていた。加えてスポーツブランドの「フィラ」をはじめ、10数社とスポンサー契約を結んでおり、1年に約30億円の副収入があったという。

 同じ頃のジョーダンは1年で約63億円を稼ぎ、ダントツでリーグ1位。2位がシャック(約38億円)、そして3位がヒルだった。スポーツビジネスでの経済効果として約20年前にこれを震源として動き出していなければ、現在のNBAトップ選手たちのこの2倍、3倍の報酬というのは生まれていなかっただろうという論説を唱える学者もいる。
 
 その反面、アイバーソンは学生時代に乱闘騒ぎで逮捕され、懲役15年の禁固刑(州知事の特赦により4か月後に釈放)を受けたり、マリファナ所持疑惑(最終的には所持していなかったことで終結)の濡れ衣をかけられたウェバーは、フィラとの契約を一方的に解消されたりもした。一概にジェネレーションXの生きる時代はすべてが順風満帆ではなく、天使と悪魔が隣合わせのような時代で、だからリアルを感じたのかもしれない。

 音楽界にも1曲でアメリカンドリームを掴んだミュージシャンがいるが、その性質はNBA選手とは異なる。ミュージシャンは曲のセールスがそのままキャッシュに化けるシンプルな構造だが、NBAはその選手の全盛期に各球団が多大な先行投資をして有望選手候補生を獲得する。しかしレコード会社がミュージシャンの将来の夢に数億円の契約金を払うことはないシビアな世界だ。

 オールドスクール世代には「一発当てたいなら、ミュージシャンかバスケットボール選手になるのがいい。それがダメでもドラックディーラーがある」というブラックジョークがあった。

 しかし、ミュージシャンはほんの一握りしか大化けしないし、ドラッグディーラーはすぐに刑務所にぶち込まれてブラックジョークにもならないと、カニエ・ウエストは言っていた。

 アメリカでも世の中が大きく変動した時代にあって、NBAのスーパースターたちの生き様はある意味アメリカそのものを象徴していたのだろう。

文●北舘洋一郎

【名場面PHOTO】ジョーダン最後のオールスター、コビー81得点、カーターの豪快ダンク……1999-2019 NBA名場面集

DAZNなら「プロ野球」「Jリーグ」「CL」「F1」「WTAツアー」が見放題!充実のコンテンツを確認できる1か月無料体験はこちらから

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号