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【名作シューズ列伝】大型司令塔ペニーの「NIKE AIR ZOOM FLIGHT 96」。大御所を差し置いてブランドの新たな顔に!

西塚克之

2020.08.05

AIR ZOOM FLIGHT 96

AIR ZOOM FLIGHT 96

 このモデルにはThermo Clear Plateなど、当時のNIKEの最新テクノロジーを惜しみなく搭載。ジョン・ストックトンやデイビッド・ロビンソンらの大御所を差し置いて、彼の背番号「6」がナンバリングされているのもマーケットの若返りを意識したものだと考えられます。シューズにナンバリングが入ったNIKE着用プレーヤーは、スコッティ・ピッペンとペニーの2人だけ。ブランドの期待度の高さがうかがえます。



 ただ、ピッペンの「AIR MORE UPTEMPO」と比較すると若干地味な正攻法のデザインだったため、シューズ自体の人気はイマイチでした。

 新たなブランドのアイコンとなったペニー。当然、BOXも特別なものを期待していましたが、他のシューズ同様にNIKEのデフォルトでした。ダンボールのままの地にブラックのスウッシュ、側面の上部はオレンジ、下はブラックで統一です。



 アトランタオリンピックでは、ゲイリー・ペイトンに次ぐ2番手ガードとして平均9点、4.4アシストを記録。国際大会でも躍動感あるプレーでファンを虜にし、さらに知名度を上げました。
 
 しかし――。シャックの代わりにマジックを引っ張り、オフにオリンピックに出場、さらに次のシーズンにはジャパンゲームで来日と、ほぼ休みなくプレーしてきた彼のヒザは悲鳴をあげました。その後はケガによる欠場が増加し成績が下降。最大の武器である身体能力を失い、並の選手となってしまったペニーは、2007-08シーズン限りで引退しました。

 ペニーの全盛期はデビューから4年間。ヒザを負傷する前に着用していたシューズがシグネチャーではない「NIKE AIR ZOOM FLIGHT 96」で、何か因縁めいたものを感じずにはいられません。

 現在は母校のメンフィス大でヘッドコーチを務めるペニーは、引退後も多くの人々に愛されています。その証拠に彼のモデルは復刻や新モデルがリリースされており、その人気ぶりは健在です。表舞台からは去ったペニーですが、これからも話題を提供してくれる存在であり続けてくれることを願っています。

文●西塚克之

【著者プロフィール】
西塚“DUKA”克之/日本相撲協会公式キャラクター「ハッキヨイ!せきトリくん」の作者として知られる人気イラストレーター。入手困難なグッズやバッシュを多数所有する収集家でもあり、インスタグラム(@dukas_cafe)では、自身のシューズコレクションを公開中。ダンクシュートでは名作シューズ列伝『SOLE&SOUL』を連載している。

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