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NBA

プレーオフ連続出場記録が途切れたスパーズ。名将ポポビッチは愛弟子にバトンを引き継ぐのか?

北舘洋一郎

2020.08.14

「ポポビッチはオルドリッジが大好きだった。とても寡黙だが一生懸命にバスケットボールに取り組むところがね。明らかにダンカンとは性格の違う男だが、ダンカンと同じように信頼のおける男だ」。ダンカンとともにスパーズの全盛期を担ったマヌ・ジノビリは言う。

 実際に2015年、スパーズのフロントはオルドリッジをフリーエージェントで獲得するためにサラリーキャップを空ける工面をした。さらにダンカンへ引退を一年先送りさせ、オルドリッジにスパーズの大黒柱の座を引き継がせる動きも見せた。しかし、そもそもダンカンの後釜を誰かに託すという構想自体が難しい話で、オルドリッジにとっては大きなプレッシャーとなったはずだ。

「6年前にはインサイドがNBAを制すと何の疑いもなく思っていた。リバウンドを制し、成功率の高いインサイドでの攻撃は勝利にもっとも有効だと」。以前、ポポビッチはそのように語っていた。

 そして運悪く、リーグ最高峰の2ウェイプレーヤーでありながら伸びしろも十分あったカワイ・レナードがケガで長期離脱を余儀なくされる。レナードもポストダンカンの最有力候補として期待されていたが2018年にトロント・ラプターズへ移籍。16年のダンカン引退後はパズルのピースが揃わない戦いを余儀なくされ、毎年苦戦を強いられた。
 
 何度も繰り返すが、19年にわたりスパーズに君臨しポポビッチとともにスパーズ王朝の立役者となったのはダンカンだった。「スパーズのボスはダンカンだ。彼は若い時からチームのボスだった。当時のショーン・エリオットやエイブリー・ジョンソンも『あいつは年齢詐称じゃないか』とからかうくらい、若くして肝が座り、コートでも常に平常心を維持していたそうだ」と、レジェンドのトニー・パーカーは振り返る。

 ポポビッチいわく、ダンカンは自分が試合でタイムアウトを取る理由や、ロッカールームに戻った時に何を言うかなど、考える先が予知できているのかと思うくらい、頭脳明晰だったという。

 オルドリッジは「コート上でダンカンのように得点をしたりリバウンドを取ったりすることはできても、同じ頭脳を持ってそれを体現しろというのは、ラリー・バードのようになれと言われているのと同じことだ」と語ったことがあった。今シーズンからアシスタントコーチとしてベンチに入っているダンカンは、預言者のように試合の流れを読み、どうすべきかの選択肢を的確に提示する能力が高いとポポビッチは評価する。

 今年71歳を迎え、今夏はアメリカ代表チームに金メダルをもたらした後で、スパーズの指揮官も引退すると噂されていたポポビッチ。もちろんオリンピック出場は延期になっても全うすると思われるが、もしかしたら今季限りでスパーズのヘッドコーチを愛弟子のダンカンに引き継ぐ可能性は大いにある。

 ポポビッチは2014年に5度目の優勝を果たした後で「大好きなワインを飲み、くつろぎなら試合を見られるようになるのはもうすぐかな」と話していた。それから6年もの月日が経っているが、今夏に名将は“決断”を下すのだろうか。
 
文●北舘洋一郎

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