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NBA

プレーオフで別次元の活躍を続けるレナード。指揮官が姿を重ねる2人のレジェンドとは?

秋山裕之

2020.09.05

“ミドルレンジのオフェンス”、“寡黙なリーダー”の2点から、指揮官はある2人のレジェンドをレナードに重ねた。(C)Getty Images

“ミドルレンジのオフェンス”、“寡黙なリーダー”の2点から、指揮官はある2人のレジェンドをレナードに重ねた。(C)Getty Images

「私はサンアントニオ(スパーズ)からトロントまで、彼が見せてきた全てのオフェンシブセットを見てきた。そこには多くの共通点があった」。クリッパーズのドック・リバースHCは、ボストン・セルティックスを指揮していた当時のエース、ポール・ピアースにレナードの姿を重ねているという。

 確かに、レナードとピアースの2人は、ポジション、プレースタイル、勝負強さなど似通った部分が多い。ともに世代を代表する実力者であり、エースとしてファイナルMVPを獲得している。一方で、現役時代から饒舌家として知られるピアースに対し、レナードは口数の少なさでは現役有数。Twitterでも最後の投稿は2015年、インスタグラムも自身のファミリーが運営するなど、SNS全盛の現代では珍しい、寡黙なリーダーとして知られている。

 リバースHCにとって、レナードのようなタイプのリーダーを見るのは現役時代までさかのぼるという。

「パトリック・ユーイング(元ニューヨーク・ニックスほか)が少し似ていた。チームメイトにはすごくオープンなんだが、彼が自らその輪に入り込むことはなかった」
 
 キャリア晩年の1992~94年にニックスでプレーしたリバースは、“ニューヨークの摩天楼”と称されたユーイングと約2シーズン、チームメイトとして共闘した経験を持つ。レナードとユーイングに共通するリーダーシップとはどういったものなのか。

「彼らは自分たちが話す時、決まって一生懸命プレーすることにフォーカスする点がすごく似ている。正しいことをこなし、正しいプレーを続ける、そしてそれを遂行するということだ。特にカワイの場合、話す時には多くのことを要求してくる。だから重みがあるんだと思う。普段あまり多くのことを話さないからなおさらね」

 リバースHCの言う通り、ここぞという時の発言と自らのプレーでチームメイトを引っ張るレナード。プレーオフに入ってからはさらに集中力が増しており、ナゲッツとの初戦ではFG成功率75%(12/16)の29得点を稼ぎ出して120-97の快勝に導いている。

 それでも、「彼ら(ナゲッツ)は第7戦までもつれたシリーズを勝ち抜いてきたんだ。次はもっと入念に準備して戻ってくるに違いない」と、現地5日に行なわれる第2戦を前に、短い言葉でチーム全体の気を引き締め直している。

 クリッパーズにはパトリック・ベバリーやルー・ウィリアムズといった発言力のあるベテランがいるため、なおのことレナードのような寡黙なリーダーがマッチするのかもしれない。フランチャイズ史上初のカンファレンス・ファイナル進出、そしてNBAチャンピオンを目指すチームにとって、この男が誰より頼れるリーダーであることは間違いない。

文●秋山裕之(フリーライター)

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