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NBA

ジュリアス・アービングーー。コート内外で模範的な紳士だった華麗なるダンク・アーティスト【NBAレジェンド列伝・前編】

出野哲也

2020.12.04

 カーは記者たちに、この男は殿堂入りする選手になると触れ回った。それが誇張ではないことは、実戦が始まると誰もが納得する。218cmの長身を誇るアーティス・ギルモアの頭越しのダンク、ブロックショットに跳んだ3人の選手をジャンプしながらかわして決めたリバースレイアップ……。空中で自由自在に身体を動かせる彼の特異な能力は、まさに常識破りだった。 それまで長身選手が力任せに決めていたダンクを、 アービングは芸術性あふれたものに生まれ変わらせたのだ。

 保守的なプレーが主流だったNBAに対抗するため、ABAでは派手なプレースタイルを前面に押し出していたのも、アービングにとっては幸いだった。1年目から平均27.3点を記録し、 リバウンドも15.7本。並み外れたジャンプ力に加え、腕が非常に長く、おまけにボールを楽々と摑めるほど手が大きかったことが、ビッグマン並みの本数を奪えた理由だった。

 翌年にはスクワイアーズとの契約が 残っていたにもかかわらず、アトランタ・ホークスと年俸200万ドルの好条件で契約。その直後にミルウォーキー・バックスもドラフトでアービングを指名したため、3球団の間で彼の保有権を巡って大騒動になる。結局、 司法の判断でスクワイアーズに戻ったが、「あの頃ホークスにはビート・マラビッチがいたんだ。私と彼が一緒にプレーしたら、さぞかし興味深いチー ムになっただろう」とアービングは残念がった。
 
 プレーだけでなく、素晴らしい人間性も賞賛の的だった。「試合が終わって1時間ほど経った頃だ。50人ほどの子どもたちが客席に残っていたので、 何事かと思ったらジュリアスがサインをしていた。 周りに記者なんていやしない。彼はそうしたいからしていたんだ」 (ABAのカロライナ・クーガーズ元ゼネラルマネージャー、 カール・シアー)。

 その姿勢はファンに対してだけではない。 取材陣の質問にも時間を割いて丁寧に答えたほか、コート上でも紳士的な態度を崩さず、レフェリーの判定にも文句を唱えなかった。どれほど派手なプレーを決めても、自慢げに振る舞うこともなかったのだ。(後編に続く)

文●出野哲也

※『ダンクシュート』2009年1月号掲載原稿に加筆・修正。

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