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国内バスケ

特別指定選手の枠に収まらない、河村勇輝のプロの自覚。“もがきの2年目”を経て「世界で通用する選手」へ

永塚和志

2021.02.19

 彼の言葉にしばしば出てくるのが「PG」としてどれだけの働きができているかであり、自身の得点については二の次である。重きを置くのは司令塔としてチームを勝たせることだ。

 2年目のジンクス、という安直な言葉で片づけるべきではないが、もがいているのは事実だ。

 横浜でのデビュー直前、ファンへ向けてのリップサービスも込めてではあったが、見てほしい箇所として挙げていた3ポイントシュートの確率も、昨季の37.3%から22.7%へと大幅に下がっている。先述の島根戦でも7本の試投中、成功は1本のみ。コーナーでのオープンショットも外すなど、調子はすこぶる悪かった。

 チームが変わり、役割も変化した。相手も彼のすることがわかってきて、警戒もされる。今当たっている壁は、ある意味では当然のものだ。

 その中で「らしさ」も見せている。抜きんでたスピードと力強さから来るドライブインは横浜では一番だ。彼が中に切り込めば相手ディフェンスは必然的に収縮するから、その分、オープンになる味方選手は増える。河村が入って、横浜のオフェンスオプションは増えたと言える。

 今季チェコから来たビッグマン、パトリック・アウダとの相性がとりわけ良く、河村がアウトサイドでボールを持つとアウダが中から上がってきてスクリーンをかけてくれる。河村がそこからドリブルで中へ行く動きを見せると、アウダも合わせてリング方向へ動く。
 
 言うまでもなく、アウダにスペースがあれば彼にパス、自身の前が空いていればそのまま得点を狙う、ということとなる。この2人のピック&ロールは横浜の武器のひとつになっている。

 大言を吐く選手ではないが、河村自身は将来は日本代表など世界で通用する選手になりたいのだと繰り返し話している。今季のBリーグ2年目の挑戦において決して順風が吹いているとは言い難いものの、彼が日本のバスケットボール界において稀有で、特別な存在になっていくであろうというところに揺らぎはなさそうだ。

 河村は、同じく小柄なPGである田臥や富樫勇樹(千葉ジェッツふなばし)が自らの「憧れであり目標」だと述べている。2人はともにNBAへの挑戦経験を持つが「世界で通用」ということならば、彼にも日本代表以外にその道を模索する機会が訪れるのではないか。

 と、書いている最中、河村のビー・コルセアーズでの活動期間が2月27日、28日の川崎ブレイブサンダース戦をもって終了となる旨が発表された。ただ、チームはわからないが、来季以降も同制度を利用して再びBリーグのコートへ戻ってくるのだろう。

 いずれにしても、成長への意識がとてつもなく高い河村の、これからの成長曲線がどのように描かれていくか、実に楽しみだ。

文●永塚和志

【PHOTO】Bリーグを席巻!東海大へ進学し、さらなる飛躍を目指す河村勇輝の雄姿を振り返る!

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