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東京五輪

【五輪予選ラウンド展望】日本は番狂わせを起こせるか?4連覇を狙うアメリカを脅かす国は<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2021.07.24

アメリカはNBA屈指のスーパースターのデュラントを中心に、大会4連覇を狙っている。(C)Getty Images

アメリカはNBA屈指のスーパースターのデュラントを中心に、大会4連覇を狙っている。(C)Getty Images

■グループB展望(カッコ内はFIBAランキング/五輪出場歴)
◎=本命、○=対抗、△=穴、×=大穴

◎    オーストラリア(3位/13大会連続15回目の出場)
〇    イタリア(10位/4大会ぶり13回目の出場)
△    ドイツ(17位/3大会ぶり6回目の出場)
×    ナイジェリア(22位/3大会連続3回目の出場)

上位3国の実力は伯仲。混戦になる可能性も

 19年のワールドカップでベスト4入りしたメンバーが主力を占めるオーストラリアが本命。欧州勢にとって不慣れな相手である点は有利に働きそうで、局面を独力で打開できる勝負強いパティ・ミルズの存在も心強い。

 これを追うのがイタリアだ。高さで劣るチームだけに外からの攻撃を多用するが、シュートが不調な場合は自分たちのペースを作れなくなる。その日の調子次第というギャンブル的な戦い方である点は否めないが、ここ一番でとてつもない力を発揮する集中力は侮れない。実際に最終予選では、敵地で強豪セルビアを下す“番狂わせ”を演じている。

 3戦目(7月31日)でオーストラリアと対戦するドイツは、最終予選決勝では似たタイプのブラジルを退けて五輪切符を掴んだ。その試合で28得点をあげて、大会MVPに輝いたのがモリッツ・ヴァグナー。大一番で力を発揮するエースがいて、粘り強さもある今大会のドイツは、上位に進出できるポテンシャルを秘めている。

 このグループで“台風の目”になりそうなのがナイジェリアだ。NBAでのコーチ経験が豊富なマイク・ブラウン・ヘッドコーチが率いる“虎(愛称Dタイガー)”たちは、個々の能力は高いがチームとしては未知数。しかし、上位3国が星を分け合う可能性もあるだけに、付け入る隙はありそうだ。
 
■グループC展望(カッコ内はFIBAランキング/五輪出場歴)
◎=本命、○=対抗、△=穴、×=大穴

◎    スペイン(2位/6大会連続13回目の出場)
〇    スロベニア(16位/初出場)
△    アルゼンチン(4位/5大会連続8回目の出場)
×    日本(42位/11大会ぶり7回目の出場)

充実一途のスロベニアと実績あるスペインの首位争いか

 本命は16年五輪3位、19年ワールドカップ優勝と国際大会で結果を残しているスペインだが、今大会に向けて最も充実している感があるのは、オリンピック開幕の約3週間前に最終予選を戦った、若き天才ルカ・ドンチッチが率いるスロベニアだ。

 世界中がコロナ禍で通常のシーズンが送れていないなか、強化合宿を行ない、オリンピック本戦と同じメンバーで自分たちの力を確認できたのは大きなアドバンテージになる。2連勝して、同じく2勝のスペインと3試合目(8月1日)でグループ首位対決、という展開も十分にあり得る。

 主将のルイス・スコラが「準々決勝進出」と謙虚な目標を掲げるアルゼンチンは、主力の多くが欧州リーグでプレーしているため、スロベニアやスペインへの苦手意識はない上に、近年の国際大会ではすべて予選ラウンドを突破している。ディフェンス力の高い彼らが初戦でスロベニアから勝利を奪えば、上位争いは混沌としそうだ。

 日本は“1勝”を目標に、なるべく点差のない結果に持ち込みたいところだが、経験値という点で他の3国との差は大きい。近年力をつけてきているとはいえ、他国にとって日本は「確実に1勝したい相手」。無観客でホームの利も薄いなかでのチャレンジだが、相手に一泡吹かせる大奮闘を期待したい。

文●小川由紀子
※『ダンクシュート』2021年9月号掲載原稿に加筆・修正

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