だが今ではペリメーターで相手選手に触れればファウルがコールされ、スイッチを多用してミスマッチを突いたり突かれたりと、ポジションレスなバスケットボールが展開されている。

「ゲームのやり方は変わっていて、ガードの選手というのは自分たちのサイズではやるべきではないこともいくつかやっていかないといけないと、これまでよりも認識している。俺がこのアウォードを勝ち取ったことで、未来のガードたちへの道を切り開いたのさ」（スマート）
  　スイッチの多用によって、現代ではビッグマンがアウトサイドへ連れ出されてポイントガードの選手をガードすることもあれば、ペイントエリアでガードの選手がビッグマンと対峙するシーンも多く散見される。

　そうした中で、スマートは持ち前のディフェンス力とハッスルプレーの数々でコート狭しと暴れ回り、ビッグマンたちにも真っ向勝負を仕掛けてきた。

　今季ＤＰＯＹを手にしたことで、セルティックスの“ハート＆ソウル”として毎晩身体を張ってきたスマートの努力が最大限に報われたと言っていいはずだ。

文●秋山裕之