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NBA

バスケ選手の父はコート上で帰らぬ人に…クリッパーズの万能戦士ニコラ・バトゥームの知られざる過去<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2022.10.19

 5年間で1億2000万ドルという大型契約をゲットしていた彼はそのことも心苦しく、「僕を信頼してくれていたのに、期待に応えられずに申し訳ない」と公の場でホーネッツファンに謝罪したこともある。

 それでも彼はその頃も、誰よりも早くトレーニング場に姿を現わしては、熱心に練習に取り組んでいたと地元紙で報じられている。不振の大きな要因はメンタルのバランスが崩れていたことで、そのために思うようなパフォーマンスが発揮できていなかったのだ。

 しかし10月11日に放送されたこの番組の中で当時を振り返ったバトゥームの表情には、すでに陰りはなかった。

 6歳になったエイダン君はすでにバスケに夢中だそうで「一緒にプレーできるのが嬉しい。自分が子どもの頃は、父さんがいなくて、1人で練習していたからね。息子は僕が、世界一すごい選手だと思っているみたいなんだ(笑)」
 
 昨年の東京五輪では、アメリカの体操選手シモーン・バイルスがメンタルヘルスに問題を抱えていることを公表し、競技を棄権するという勇気ある行動をとった。

 テニスの大坂なおみも、メンタルヘルスの重要性を訴えている。ジャパンラグビートップリーグの男性選手を対象にした調査でも、13人に1人(7.6%)の選手が死を考えたことがあり、42.2%と半数近くが、何らかのメンタルヘルス不調を感じたことがあると回答したという結果が出ている。

 心身ともに強靭なイメージを大切にする彼らがそうした問題について声を上げること自体が勇気のいる行動だが、そうした人間味は、魅力でもある。

 チーム最年長のバトゥームの円熟味は、今シーズンのクリッパーズにプラス要素をもたらしてくれることだろう。

文●小川由紀子
 
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