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NBA

「彼にとっては未知の領域かも」苦しむウエストブルックにカーターが助言。あるレジェンドとの比較も<DUNKSHOOT>

秋山裕之

2022.10.28

 カーターはキャリアの後半を迎えて苦しむ現在のウエストブルックと似たような状況にいた選手として、アレン・アイバーソン(元フィラデルフィア・セブンティシクサーズほか)を挙げている。

「アレン・アイバーソン。彼は(エースを務めたシクサーズとは)違うチームでやってきた。けどベンチスタートを望まず、その役割に対処できずにいた。我々からすれば『アイバーソンはもう長い間リーグでやってきたじゃないか』という感じだったけど、彼はベンチプレーヤーになることを拒んだ。今のラスがその状況だと思う」

 アイバーソンは自他ともに認めるシクサーズの看板選手として、新人王、オールスター出場、得点王、さらにはMVPも獲得。2001年にはシクサーズをNBAファイナルまで導く立役者となり、世界中のファンを魅了した。

 だが2006年の移籍を機にチーム内での立ち位置が変化し、プレーオフには08年を最後に進めず。それでもスターターの座にこだわったことで各球団から見放されることとなった。
 
 ウエストブルックとアイバーソンは、いずれもMVP経験があり、昨秋には75周年記念チームにも選ばれた誰もが認めるスーパースター。だが彼らの持つ強烈な個性が、キャリア終盤に支障をきたす要因になってしまっているのも事実である。

 一方、カーターは99年に新人王、翌00年にはオールスターに初選出されて一躍スーパースターとなるも、ケガなどもあってそこから所属チームのエース、スターター、シックスマン、ローテーションプレーヤーと、役割が大幅に変わるなかでリーグを生き抜いてきた。

 4つの年代(1990、2000、2010、2020年代)をプレーした唯一の選手であるカーターは、先発や控えといった役割に固執するのではなく、あくまで「コートに立ってプレーすること」を望み、晩年もアトランタ・ホークスでローテーションの一角を務めた。

 ウエストブルックにとって、今季はレイカーズに限らずNBAでのキャリアを歩むうえで正念場を迎えているとも言える。この試練を乗り越えるためには、新たな役割、そして現状を受け入れることが第一歩になるのではないだろうか。

文●秋山裕之(フリーライター)

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