開幕から好調を維持するカリーは、ここまで出場17試合のうち、11試合で30得点以上、うち3試合で40得点超えと、34歳とは思えぬパフォーマンスを見せている。チームを率いるスティーブ・カーHC(ヘッドコーチ)は、このフランチャイズプレーヤーが持つ特異性を熱弁する。
「ステフとプレーするのは、どんな選手にとっても学びの経験になる。誰であろうと関係ないんだ。ケビン・デュラント(現ブルックリン・ネッツ)でさえ、数か月をプレーしてみて感じるくらいだからね。地球上のどんなこととも異なるのさ」
自他ともに認めるNBA史上最高のシューターであるカリーは、フィールドゴールの半数以上を3ポイントが占める。それでいて、今季はキャッチ&シュート、プルアップの両方で成功率40%以上を誇り、巧みなフローター、ミドルレンジからのショットも、すべてがリングに吸い込まれるかと錯覚するほど当然のように沈めてくる。
その得点力は長くリーグ最高峰に君臨する一方で、攻撃時における影響力は、マブズのルカ・ドンチッチやデュラント、ジョエル・エンビード(フィラデルフィア・76ers)、ジェイソン・テイタム(ボストン・セルティックス)、ヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)といった他チームの点取り屋たちとは一線を画すと指揮官は言う。
「彼(カリー)は皆のようにピック&ロールでプレーする。一方でオフボールになれば、すぐさまレジー・ミラー(元インディアナ・ペイサーズ)になってしまう。リーグで支配的な選手たちの大半は、ボールを持った時にこそ真価を発揮する。でもボールを持っていなければ、彼らは支配的ではない。
彼の場合は(ボールを持っている時といない時の)両面で何をしてくるかを注意しなければいけない。オフボールの時でも動き回るから、(相手ディフェンダーは)スクリーンにも備えなければいけない。マークマンはディフェンス中、常に意識しなければいけないんだ」
ミラーは1987年から2005年にかけてペイサーズで活躍した殿堂入りシューター。自らドリブルで仕掛ける機会こそ多くなかったものの、チームメイトのスクリーンを使ってオープンになり、高精度な3ポイントを沈めた。いわばオフボールムーブの達人とも言えるレジェンドだ。
その点、カリーは自身で仕掛けてゴールを奪えるだけでなく、オフボールではミラーのような動きで3ポイント、あるいは自らが囮となってディフェンダーを引きつけるため、チームメイトがオープンになり得点のチャンスが生まれる。
つまり、カリーはボールの有無に関わらず、コートにいるだけで絶大な効果を発揮しているのだ。しかもハーフコートを越えればシュートレンジとなるだけに、相手チームからすれば厄介極まりない存在だ。
ウォリアーズはカリーが放つ“引力”を最大限に生かしたオフェンスを構築しているだけに、現時点で下位にいようと決して侮るべきではないだろう。
文●秋山裕之(フリーライター)
「ステフとプレーするのは、どんな選手にとっても学びの経験になる。誰であろうと関係ないんだ。ケビン・デュラント(現ブルックリン・ネッツ)でさえ、数か月をプレーしてみて感じるくらいだからね。地球上のどんなこととも異なるのさ」
自他ともに認めるNBA史上最高のシューターであるカリーは、フィールドゴールの半数以上を3ポイントが占める。それでいて、今季はキャッチ&シュート、プルアップの両方で成功率40%以上を誇り、巧みなフローター、ミドルレンジからのショットも、すべてがリングに吸い込まれるかと錯覚するほど当然のように沈めてくる。
その得点力は長くリーグ最高峰に君臨する一方で、攻撃時における影響力は、マブズのルカ・ドンチッチやデュラント、ジョエル・エンビード(フィラデルフィア・76ers)、ジェイソン・テイタム(ボストン・セルティックス)、ヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)といった他チームの点取り屋たちとは一線を画すと指揮官は言う。
「彼(カリー)は皆のようにピック&ロールでプレーする。一方でオフボールになれば、すぐさまレジー・ミラー(元インディアナ・ペイサーズ)になってしまう。リーグで支配的な選手たちの大半は、ボールを持った時にこそ真価を発揮する。でもボールを持っていなければ、彼らは支配的ではない。
彼の場合は(ボールを持っている時といない時の)両面で何をしてくるかを注意しなければいけない。オフボールの時でも動き回るから、(相手ディフェンダーは)スクリーンにも備えなければいけない。マークマンはディフェンス中、常に意識しなければいけないんだ」
ミラーは1987年から2005年にかけてペイサーズで活躍した殿堂入りシューター。自らドリブルで仕掛ける機会こそ多くなかったものの、チームメイトのスクリーンを使ってオープンになり、高精度な3ポイントを沈めた。いわばオフボールムーブの達人とも言えるレジェンドだ。
その点、カリーは自身で仕掛けてゴールを奪えるだけでなく、オフボールではミラーのような動きで3ポイント、あるいは自らが囮となってディフェンダーを引きつけるため、チームメイトがオープンになり得点のチャンスが生まれる。
つまり、カリーはボールの有無に関わらず、コートにいるだけで絶大な効果を発揮しているのだ。しかもハーフコートを越えればシュートレンジとなるだけに、相手チームからすれば厄介極まりない存在だ。
ウォリアーズはカリーが放つ“引力”を最大限に生かしたオフェンスを構築しているだけに、現時点で下位にいようと決して侮るべきではないだろう。
文●秋山裕之(フリーライター)