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元NBA、ユーロリーグでは優勝&MVP!Bリーグ島根スサノオマジックに加入したエペ・ウドゥの波乱万丈キャリア<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2023.01.05

ユーロリーグでは2年連続でブロック王、2017年には1stチームに選出(左から3人目がウドゥ、右端はライジングスター賞のルカ・ドンチッチ)。(C)Getty Images

ユーロリーグでは2年連続でブロック王、2017年には1stチームに選出(左から3人目がウドゥ、右端はライジングスター賞のルカ・ドンチッチ)。(C)Getty Images

 ウドゥが加入した当時のフェネルバフチェは、NBA行きを見据えた若きエース、ボグダン・ボグダノビッチ(現アトランタ・ホークス)を中心に、欧州きっての名将ジェリコ・オブラドビッチを迎えた一大強化プロジェクトの上昇期にあった。

 ウドゥの存在はディフェンスをより盤石にし、フェネルバフチェはそのシーズン、クラブ史上初めてファイナルに進出。オーバータイムにもつれる激闘の末、ロシアのCSKAモスクワに敗れたが、ウドゥはこの試合で16得点、11リバウンドのダブルダブルに加えて4ブロックという大活躍を見せた。

 チームは翌年もファイナルの舞台にたどり着くと、今度はギリシャのオリンピアコスを破り、見事に欧州の頂点に立った。セミファイナルのレアル・マドリー戦で18得点、12リバウンド、8アシスト、2ブロック、そしてファイナルでは10得点、9リバウンドに加えて驚異の5ブロックをマークしたウドゥは、堂々のファイナル4MVPに選出された。
 
 フェネルバフチェに在籍した2シーズンでいずれもユーロリーグのブロック王を獲得。16-17シーズンはリバウンドでも首位に立つなど、ヨーロッパを代表するディフェンダーにのし上がったウドゥだったが、NBAでキャリアを積み上げることが自分の道だと信じていた彼は、「入団後、1~2月くらいまでは、自分が国外でプレーしているという状況を受け入れられなかった」と、複雑な思いをコートサイドインタビューでも語っていた。

 しかしその後、「置かれた状況で最大限の成果を得よう!」と腹をくくって奮闘したことが、過去にトニー・クーコッチやマヌ・ジノビリらも戴冠したファイナル4MVPの栄誉へと、彼を導いたのだった。

 そんなウドゥに地元のファンは魅了され、ホームゲームの後には数百人が出待ちするほどだったが、それはコート上での活躍だけでなく、彼がトルコの文化に関心を寄せ、学校を訪問しては現地の子どもたちと交流するなど、地域に密着していたからでもあった。

 もともと読書好きで知られるウドゥは、現代トルコ建国の父と慕われる初代大統領アタテュルクに興味を持ち、文献を読み漁ったり博物館に足を運ぶなどして熱心に学んだという。そんな姿も、「彼は単なるアメリカから来た助っ人プレーヤーではない」と、トルコの人々の心を鷲掴みにした。
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