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バスケW杯

バスケW杯初出場の南スーダンが抱く“さらなる野望”「オリンピックで国旗をはためかせたい」<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2023.03.06

 アイビーは、独立後最初のメジャートーナメントとなった2021年のアフロバスケットで、南スーダンをベスト8に導いた。独立からほんの10年。初めて国際公式マッチを戦ったのは2017年という彼らにとっては実に立派な成績だ。

 しかも当初は、まともなバスケットボールコートは学校の校庭にあった1面のみ。チームは早めに会場入りして現地で練習する、厳しい環境だったという。その彼らが、今回の最終予選では全12戦でわずか1敗。アフロバスケット2連覇中の大陸王者チュニジアを2度も蹴散らした。

 2月の最終ウィンドウでは、アイビーがNBAに専念する必要があったためデンがヘッドコーチを務め、ラスト3戦を全勝。第10戦でが強豪セネガルを83-75で破り、2試合を残して本戦出場をモノにした。

 現役時代はイギリス代表としてプレーし、2012年のロンドン五輪にも出場したデンだが“祖国を代表する”ことへの思いは人一倍強かった。祖父は村長、父も州知事や大臣を歴任し、南スーダンの独立のために戦ったという家庭環境もその背景にある。
 
「我々の国が、世界的なイベントにおいてポジティブな形で評価されるのを見るのは、自分にとって最大の成果のひとつだ。テレビに映る南スーダンは、常に戦争や貧困、制裁といった紛争ばかり。だから国民にとって、(ワールドカップ出場は)チームとして、あるいは国として、悲しいニュースではなく、何かポジティブなもの、達成したもの、応援できるものを得る初めての機会になる。そして、それこそがそもそもの目標なのだ」

 2月の最終ウィンドウを前に、デンはそう思いを語っていた。

 しかし彼らの目標は、ワールドカップ出場で達成されたわけでは決してない。この大会にアフリカから出場する5か国の中でベストの成績をあげれば、自動的に24年オリンピックへの出場権を得ることができる。

「オリンピックで、南スーダンの国旗をはためかせたい」

 そう野望を語るデンの視線は、すでにその先を見据えているのだ。
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