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NBA

パトリック・ユーイングーーNBAのドラフト制度を変えた"ニックスの象徴"【レジェンド列伝・前編】<DUNKSHOOT>

出野哲也

2023.03.15

 初の“ロッタリー・ドラフト” ではニューヨーク・ニックスが1位指名権を獲得し、当然ながらユーイングを選択した。人気球団のニックスが当たりクジを引いたことについては、いまだに裏工作があったのではと疑う者もいる。

「ニックスに指名されて嬉しかった。ニューヨークの街の雰囲気も好きだったしね」と喜んだユーイングは、平均20.0点、9.0リバウンド、2.06ブロックの好成績で新人王を受賞した。

 しかしヒザの故障で50試合の出場にとどまり、ニックスも前年を下回る23勝。チームの救世主になってくれるのではとの、ファンの期待には応えられなかった。2年目もやはり故障で19試合を欠場。3、4年目の成績も悪くはないものの、傑出した数字でもなかった。

 この頃にはオラジュワンはすでにNBAファイナルを経験し、ジョーダンもスーパースターになっていた。期待が大きかった分、ファンの不満も膨らんだ。10年間3000万ドルという巨額の契約も批判に拍車をかけた。ヘッドコーチのヒュービー・ブラウンに「自分の仕事をしていない」と名指しで非難されたこともあった。
 
 ユーイングの性格も、ニューヨークには向いていなかった。神経質で批判を気にするタイプの彼は、少しのミスでも大げさに取り上げる地元メディアに上手く対応できなかった。

「ニューヨークは勝ってさえいれば素晴らしいところだ。でも、負ければ地獄だね」

 ようやく満足のいく成績を収められたのは、5年目の89-90シーズン。中距離からのジャンプショットが安定し、自己最多の平均28.6点(リーグ3位)を記録、3.99ブロック (2位)も自己最多。リバウンドも10.9本(5位)と初めて2桁台に乗り、オールNBA1stチームに選出された。「リーグで最高の選手はマジック(・ジョンソン)だが、ユーイングも決して見劣りしない」 と、マジックの同僚であるマイカル・トンプソンに評されるまでになった。(後編に続く)

文●出野哲也
※『ダンクシュート』2008年9月号原稿に加筆・修正
 
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