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NBA

ユーイングがジョーダンとの“悪ふざけ”で代表落ちの危機に。関係者が明かす1984年五輪の裏話

ダンクシュート編集部

2021.01.20

ユーイング(右)はジョーダンとのレスリングで首を負傷。メンバー落ち寸前だったが、フェルプスの説得で何とか代表入りを果たした。(C)Getty Images

ユーイング(右)はジョーダンとのレスリングで首を負傷。メンバー落ち寸前だったが、フェルプスの説得で何とか代表入りを果たした。(C)Getty Images

 パトリック・ユーイングは本格派センターとしてNBAキャリア17年間で、通算2万4815得点(歴代28位)、1万1607リバウンド(同26位)、2894ブロック(8位)を記録し、バスケットボール殿堂入りも果たしている。アマチュアのみで参加した1984年のロサンゼルス五輪で金メダルを獲得した12人のうちの1人でもあるが、“神様”マイケル・ジョーダンとの悪ふざけが原因でメンバーから外される寸前だったという。

 バスケットボールアメリカ代表の五輪と言えば、初めてNBA選手参加が解禁され、ジョーダン、マジック・ジョンソン、ラリー・バード、カール・マローン、ジョン・ストックトン、クライド・ドレクスラー、スコッティ・ピッペンら錚々たるメンバーが集まり、世界一に輝いた“ドリームチーム”が有名だ。

 当時のメンバーの中では、ジョーダン(ノースカロライナ大)、ユーイング(ジョージタウン大)、クリス・マリン(セント・ジョーンズ大)の3人が1984年のロサンゼルス五輪にも参加しているが、ユーイングは代表落ちする可能性もあったという。アメリカ代表を率いていた名将ボビー・ナイトの友人で、ノートルダム大のヘッドコーチ(HC)を務めていたディガー・フェルプス氏が、『The Athletic』で裏話を明かしている。

「問題が発生した。これに対処できるのはあなただけだ。ナイトはユーイングを家に送り返したいと思っている。ルームメイトのジョーダンとユーイングは自分たちの部屋でレスリングをしていて、ユーイングは首を捻って痛めた」
 
 フェルプス氏は、アメリカ代表のアシスタントコーチだったCM・ニュートンからこのように連絡を受けたという。そして、ジョーダンと悪ふざけをしたユーイングを“強制送還”しようとしているナイトの考えを改めさせるべく、ため息交じりに「分かった。私が対応する」と返答した。

 オリンピック期間中に『ABC』のアナリストを務めていたフェルプス氏は翌日、アメリカ代表が練習を行なうロサンゼルス・レイカーズの本拠地(当時)ザ・フォーラムに足を運び、ベンチでナイトに対して進言したという。

「ボブ、君には彼(ユーイング)が必要だ」

 すると、ナイトはユーイングと彼の母校であるジョージタウン大を率いていたジョン・トンプソンへの愚痴をこぼしたが、フェルプス氏も「ボブ、だけど君には彼が必要だ」と繰り返した。

 さらに、ウォーミングアップしているユーイングを見て、「あの動きを見てくれ。どれだけ悪いか」と主張するナイトに対して、フェルプス氏は最後にもう一度、「ボブ、だけど君には彼が必要だ」と唱えた。

 結局、ナイトはユーイングをロースターに残して大会に参戦。ユーイングは全8試合中6試合で先発し、ジョーダン、マリンに次ぐチーム3位の平均11.0点、5.6リバウンド、2.25ブロック、FG成功率55.4%をマークして、チームの優勝に貢献した。もし、ナイトがユーイングを外していたら、アメリカ代表の金メダル獲得の結果も変わっていたかもしれない。

構成●ダンクシュート編集部

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