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NBA

NBAドラフト全体1位指名権はスパーズの手に!大本命のウェンバンヤマも歓喜「フランスはスパーズと特別な縁がある」<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2023.05.19

 ウェンバンヤマは2004年1月4日生まれの現在19歳。彼が生まれた頃は、すでにティム・ダンカン、マヌ・ジノビリ、そしてパーカーのビッグ3に率いられたスパーズの絶頂期だった。

 彼が記憶しているのは、スパーズが6年ぶりにNBAファイナルの舞台にカムバックした2013年のマイアミ・ヒートとのシリーズ。とりわけゲーム6の第4クォーター終了間際に決めた、レイ・アレンの同点3ポイントは強く印象に残っているという。

 ウェンバンヤマがスパーズ入りに期待を膨らませているもうひとつの理由は、名将グレッグ・ポポビッチの存在だ。

「(ポポビッチから指導を受けるのは)とても光栄なことだ。彼は非常に要求が厳しい指導者だと聞いているけれど、確かなのは彼がとても優れた指導者だということ。謙虚な気持ちと、ワクワク感をもって臨みたい」

 欧州で開催されるNBAウィズアウト・ボーダーズのコーチも務めるなど、ヨーロッパ人選手の特徴を熟知するポポビッチが指揮官というのは、ウェンバンヤマにとって理想的な環境だろう。

 再建中のスパーズはこの4シーズン、プレーオフから遠ざかっている。今季は22勝60敗、勝率26.8%という球団史上ワースト3位の成績でカンファレンス最下位に終わった。

 しかしそんなチームの現状については「まったく心配はしていない」とウェンビーは楽観している。

「バスケットボールの世界、とりわけNBAでは、下位にいたチームが上にあがっていき、プレーオフやカンファレンス・ファイナルにも到達する。スピード感のあるトレードといったNBAのチーム構築を見ていても、(成績不振については)まったく不安はない。むしろ大切なのは、球団の基盤や文化がしっかりしていることだ」
 
 この日のフランスのスポーツメディア『レキップ』には、パーカーの9番がついたスパーズのユニフォームを着た、ウェンバンヤマの少年時代の写真が掲載されていた。

「同じチームでNBAキャリアをスタートさせる以上、レジェンドとの比較は免れないが?」とインタビュアーに聞かれると、ウェンバンヤマは「そのことに関して言えることひとつだけ。彼の名前と並んで称されるというのは、光栄以外のなにものでもないということさ」と答えた。

「みんなの期待はかかるだろうけれど、その大きさは、僕が自分自身に向けている期待を上回るものではないからね」

 ウェンバンヤマが所属するメトロポリタンズ92は、今週の日曜からフランスリーグProAのプレーオフに挑む。6月11日から始まる3戦先勝のファイナルに進出し、最終第5戦までもつれこんだ場合、優勝決定はドラフト直前の6月20日になる。

 まずはフランスでタイトルを獲ること、それからドラフトにサマーリーグ、可能であれば8月25日開幕のワールドカップに出場し、その前後にしっかり調整する、というのが、今後のウェンバンヤマのプランニングだ。

「今夜は眠れそうにないくらい興奮した。大好きな人たちに囲まれて、 とにかく特別な夜だった」

 自信に満ちて冷静に話す彼が、素直な感情をもらす時に見せる笑顔には、まだあどけないティーンエイジャーらしさも残る。超新星と呼ばれるヴィクター・ウェンバンヤマの、NBAデビューへのカウントダウンが始まった。

文●小川由紀子
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