ブラウンHCも、ヴェゼンコフが密集地帯でリバウンドを奪える能力を称え「プレーすればするほど、我々にとって頼もしい存在になっている。出場時間を重ねるごとに、自分のグルーヴを掴み始めているよようだ」と期待を寄せている。

　その「ヴェゼンコフのグルーヴ」だが、彼は欧州でも、独特のプレースタイルを持つ選手として知られていた。

　彼の真骨頂は、ボールを受け取った際にクローズアウトしてきた相手ディフェンスをかわす上手さであったり、オリンピアコス時代には、ドリブルを1度もつかずに24得点をマークしたという伝説の試合もあるように、オフ・ザ・ボールの巧みさにある。

　キャブズ戦では、そうした欧州時代のプレーが垣間見られていたから、NBAでも、彼らしいプレーが発揮されるのは時間の問題だろう。
  　キングスには、昨季から勝利した試合の後に、それを祝してチームカラーである紫色の光線を、本拠地のゴールデン１センターから空へ向かって放つ恒例の儀式がある。

　主にゲームで活躍した選手が担うこのビームの点灯を、キャブズ戦の後で仰せつかったのはヴェゼンコフだった。

「みんなで一緒に前進し、勝利し、そしてビームを灯し続けよう！」

　そうマイクに向かって語りながら、ヴェゼンコフは観衆のカウントダウンの中、記念すべき初めてのスイッチを押した。

　２年連続のプレーオフ進出を目指すキングスにとって、今後もヴェゼンコフは貴重な戦力となるに違いない。

文●小川由紀子

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