昨季NBAで最も躍進したチームと言えば、やはりサクラメント・キングスだろう。2021－22シーズンにウエスタン・カンファレンス12位の30勝52敗（勝率36.6％）に沈んでいた彼らは、翌2022－23シーズンにウエスト３位の48勝34敗（勝率58.5％）と18勝もの上積みに成功したからだ。

　マイク・ブラウン新HC（ヘッドコーチ）の下、キングスはオフェンシブ・レーティングでリーグベストの118.6を叩き出し、平均120.7点も堂々リーグトップと超攻撃型チームとしてリーグを席巻。

　そんなチームのトップスコアラーとして大暴れを見せたのがディアロン・フォックス。キャリア６年目となった昨季、25歳のポイントガードは平均25.0点、4.2リバウンド、6.1アシスト、1.1スティールにフィールドゴール成功率51.2％と堂々の数字をマークし、オールスター初選出を飾った。
  　チームには同じくオールスター入りしたドマンタス・サボニス、82試合にフル出場したベテランのハリソン・バーンズ、アウトサイドショットで援護射撃したケビン・ハーターとキーガン・マレー、シックスマンとして暴れ回ったマリーク・モンクなど、昨季キングスが大成功を収めた要因にはチームが上手く嚙み合ったことも挙げられる。

　ただ、彼らが勝利を重ねるうえで最も強烈なインパクトを放っていたのがフォックスなのは間違いない。“クラッチゲーム”と評される試合時間残り５分で５点差以内という重要な時間帯に、いずれもリーグトップとなる計194得点、平均5.0点を奪取。昨季新設された最優秀クラッチプレーヤー賞に輝いたからだ。

　2006年以来、実に17年ぶりとなったプレーオフのファーストラウンド、キングスはゴールデンステイト・ウォリアーズに３勝４敗で敗退。だが、フォックスは初の大舞台でもシリーズ平均27.4点、5.4リバウンド、7.7アシスト、2.1スティールと見事なプレーを披露した。

　シリーズ中に利き手である左手の人差し指の先端を裂離骨折するアクシデントに見舞われたものの、全７試合で35分以上プレー。故障を抱えながらも懸命にキングスを引っ張り続けた。