選手が使用していない時間帯はスタッフが練習用コートを自由に使用でき、彼女はそこでバスケをプレーする時間も持てるようになった。プレーヤー目線でデータを解析できることが、彼女の強みのひとつであることは間違いない。

　ハイレベルのスポーツにとって、データ解析はもはや欠くことのできない要素だ。グラマーレさんによると、最新の撮影ツールでは、プレー中の選手のヒザから手首、小指に至るまで、身体の様々な部位の位置や向きを0.04秒ごとに検出できるという。

「たとえばジェイソン・テイタムのシュートシーンを見て、彼がボールにきちんと指をかけているか、彼のシュートがディフェンスのプレッシャーによってどのような影響を受けているか、といったことを分析することが可能です」
  　１本のシュートが0.04秒ごとに解析されるとなれば、１試合分のデータでも膨大なものになる。彼女たちアナリストにはデータを的確に判断し、それに即した情報を探し出す能力が求められる。

　そして最終的には、収集したデータをジョー・マズーラ・ヘッドコーチが最も有益な形でプレーに生かすことになる。その効用は、今季残した64勝18敗の成績と無縁ではない。

　コート上でプレーするのは選手だが、彼らを裏で支える精鋭軍団の尽力も合わさって、優勝は実現する。彼女たちもファイナルに向けて、万全のパフォーマンスを期しているだろう。

文●小川由紀子

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