専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
NBA

モーゼス・マローン—―バスケ歴わずか6年でプロ入りを果たした高卒プレーヤーの先駆者 【レジェンド列伝・前編】<DUNKSHOOT>

出野哲也

2024.09.18

■ロケッツ移籍を機にメキメキ頭角を現わす

 短期間に2度もトレードされて自信を失いかけたマローンだったが、ロケッツへの移籍は吉と出た。ヘッドコーチがスターズ時代の恩師トム・ニソーキーで、新しいチームにすぐ馴染めたのだ。平均13.1リバウンドはリーグ3位、とりわけ437本のオフェンシブ・リバウンドは、それまでの記録だったポール・サイラスの本数を72本も更新。プレーオフでも1試合15本の新記録を打ち立て、オフェンシブ・リバウンドの達人との評判を確立した。

 ロケッツのある選手は「俺たちはシュートを決めなくてもいい。外してもモーゼスが拾って押し込んでくれるから」と言い切った。
 
 オフにビルドアップして臨んだ78-79シーズンは、平均得点が5点以上も増えリーグ5位の平均24.8点、リバウンドも自己最多の17.6本で初のタイトルを獲得し、ABA出身者として初のMVPに輝いた。オフェンシブ・リバウンド587本は、今も破られぬ史上最多記録。

 同部門の年間本数記録の1~3位までをマローンが独占しており、通算7382本も2位のアーティス・ギルモアに2500本以上差をつけている(ABA時代を含んだ数字)。現役最多のアンドレ・ドラモンドでも、3656本でマローンの約半分。マローンのオフェンシブ・リバウンドは、それほど並外れたレベルにあったのだ。

 82年は得点部門でも平均31.1点で2位となり、2度目のMVP。シュートレンジは狭くとも、その分フリースローを数多く得て、ビッグマンとしては及第点である75%以上の確率で決めていた。カリーム・アブドゥル・ジャバーでさえもまったく抑えることができず、彼は自伝でマローンに一切言及しないことでプライドを保とうとした。(後編に続く)

文●出野哲也
※『ダンクシュート』2012年8月号原稿に加筆・修正

ジュリアス・アービングーー。コート内外で模範的な紳士だった華麗なるダンク・アーティスト【NBAレジェンド列伝・前編】

NBA1年目からブロック王に。スーダンが生んだ身長231㎝の“野生児”マヌート・ボル【NBAレジェンド列伝・前編】

“永遠の悪ガキ”チャールズ・バークレー。84年五輪メンバー落選を巡る裏話【NBAレジェンド列伝・前編】
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号