「アリーナを出て、私は練習施設に戻った。そこにはあまり選手がいなくて、なかには通常の試合後のリカバリーをしている者もいた。私は初戦で勝利した後も、本当に集中していたんだけどね」
その後サンダーは第2戦から4連敗を喫し敗退。4試合中3試合は6点差以内という接戦だったものの、経験で勝るヒートを勝負所で上回ることができなかった。
デュラントは5試合で両軍最多の平均30.6点に6.0リバウンド、1.4スティール、ウエストブルックも平均27.0点、6.4リバウンド、6.6アシストと奮闘した一方で、ハーデンは平均12.4点にフィールドゴール成功率37.5%と不発。のちのMVPは2012年10月のトレードでロケッツへ移籍し、ビッグ3は解体となった。
昨年8月に50歳となったフィッシャーは、当時を後悔とともにこう振り返っていた。
「シリーズ中に、せめてもう少し声を上げていればよかったと思う。私がもっとリーダーシップを発揮できていたら、NBAでチャンピオンシップを勝ち獲ることの難しさを彼ら(チームメイト)に理解してもらえたかもしれない」
失意のファイナル敗退から約13年。今季のサンダーはエースのシェイ・ギルジャス・アレキサンダーを中心に、12月3日のジャズ戦から1月5日のボストン・セルティックス戦までフランチャイズ新記録の15連勝を飾り、6日終了時点でウエスト首位の30勝5敗(勝率85.7%)と絶好調だ。
これはシアトル・スーパーソニックス時代(2008年にオクラホマシティに移転しサンダーに改称)の1995-96シーズンに残した球団記録の64勝18敗(勝率78.0%)を上回るペースで、1979年以来2度目の優勝も狙える位置にいる。今季のチームがどこまで勝ち上がれるか、OBのフィッシャーも注目していることだろう。
文●秋山裕之(フリーライター)
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